仮想環境向けデータ保護製品などを提供するヴィーム・ソフトウェア。日本市場参入から今年で3年目を迎え、昨年12月には古館正清氏が執行役員社長に就任した。今回、日本市場における展望や成長戦略について同氏に話を聞いた。

  • ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長 兼 バイスプレジデント 古舘正清氏

古舘正清(ふるだて まさきよ)

ヴィーム・ソフトウェア株式会社 執行役員社長 兼 バイスプレジデント

大手グローバルIT企業の日本市場参入と事業運営に30年以上にわたり携わる。2017年12月に社長に就任するまでは、F5ネットワークスジャパンにおいて代表取締役社長を務め、同社のセールスの変革と成長を果たし、企業向け販売を拡大した。

F5ネットワークスジャパン入社以前は日本IBMに20年以上在籍し、日本マイクロソフト、レッドハットにおいて要職を歴任してきた。

--2017年のグローバルにおける業績について教えてください。

古舘氏:総売上が前年比36%増の8億2700万ドルに達し、企業向けの新規受注が同62%増となり、特に100万ドル以上の大口受注は同500%増でした。英Gartner(ガートナー)の「2017 Magic Quadrant for Data Center Backup and Recovery Solutions」において、2年連続となるリーダーの評価を獲得しています。

また、昨年の10月には成長を続けるAPJ地域を統括する必要性があったことから、APJ地域シニア・バイス・プレジデントにショーン・マクレガンが就任しました。

これまではオーストラリアとインドはAPJに含まれていませんでしたが、2018年に向けて2カ国がAPJに含まれたことで強固な営業体制が整い、2017年は成長への基盤が整備された1年となりました。

--導入企業数と販売チャネルの状況はいかがでしょうか。

古舘氏:導入企業は、現在はグローバルで28万2000社に達し、国内でも着実に増加しています。採用されている理由としては、迅速なデータの復旧やハイブリッドクラウドをはじめ、仮想環境に対する強みがあるからです。

また、仮想化・クラウドのバックアップであれば、Veeam製品だという認識が昨今では浸透しています。日本法人の設立から3年目を迎え、これまで認知拡大とパートナーの拡大を進めてきました。これらは今後も継続していきますが、次のステップとしてはエンタープライズのユーザーを獲得することに注力します。

システムを停止させない仕組みづくりが重要なため、特に復元で問題が起こらない対策、または自動化を事前に講じるべきであり、これは他社にはないわれわれの強みです。

一方で、サポート体制の強化など日本市場への適合を進めていきます。この点については米国本社もサポートを約束してくれています。

国内の販売チャネルに関しては、仮想化・クラウドのデータ保護はVeeamと位置づけているパートナーの増加は加速しており、今後も拡大していきます。

--現在、3社の大手ITベンダーと提携していますが、今年は新たにアライアンスの締結などは考えていますか?

古舘氏:アライアンスは、グローバルで強化していく方針です。現状ではグローバルではHPEとシスコ、NetAppの3社と包括的なアライアンスを締結しています。日本においてビジネスを拡大する上でも、国内の主要ベンダーとの協業も視野に入れています。