――ハードなアクションも見どころとなった『アマゾンズ』ですが、今回の映画撮影で特に「キツかった」と思えるシーンにはどんなものがありましたか。
藤田:撮影は昨年(2017年)の秋くらいに行っていたのですが、ロケ場所が長野で、すでに雪が降っていて寒くて。そんな時期でありながら、水の中に入るシーンが2度ほどあったんです。こんな寒いのに……と思っていたら、いざ入ると案外平気だったりしました(笑)。それは、悠の気持ちになって、かなり思いつめた状態で芝居をしていたからだと思いますけど。
谷口:映画のとあるシーンに向けて衣裳合わせに行ったら、衣裳を着ないで裸にさせられてしまったことですね。ふつう、衣裳合わせというのは衣裳を着るもんだろ!と(笑)。富と同じく、寒い中でずっと裸でいたシーンが大変でした。とにかく寒いし、ずっと立っていると痛くなってきますしね。でも、個人的な思いで言うと、裸の状態でいられたことで、初代のアマゾン(1974年放送『仮面ライダーアマゾン』)と、つながることができたかな、とも思いました。どこかで最初のアマゾンとつながりを持ちたかったですからね。これがうれしくて、思わず「ア~マ~ゾ~ン!」の変身ポーズをやろうかともしましたが、下世話かなと思って、それはやめておきました。
映画では俳優としても好敵手に、撮影後に初めて飲みに行った
――念願の映画化ということで、石田監督の映画への意気込みも相当なものだったのではないでしょうか。
谷口:石田監督は常に気合いが入っている方で、いつも台本は書き込みで真っ黒なんですよ。だから、映画ということで特別に気合いを入れていたという感じではなかったですね。逆に"アマゾンズの最後"ということで、みんなを見送る優しさみたいなものを感じました。いつもはすごく怖くて、すぐ怒鳴っていて……まあ今回も怒鳴っていましたが(笑)、モニターの横でみんなの芝居を微笑みながら見ている姿が印象的でした。
藤田:石田監督は、常に撮影のことで頭がいっぱいで、考えることも多いでしょうし、疲れているからイライラもあるんだと思うんですよ。でも、この映画のときはそんなイライラは感じられなくて、眠そうな顔もしていなくて、作品のこと、役者のことを愛し、見守ってくれているのを感じました。Season1のころと比べても、より接しやすくなったというか、芝居に対しての相談がしやすくなりました。キツい撮影ではありましたが、楽しかったです。
――『アマゾンズ』を応援してくれた多くのファンの声というものは、お2人の耳に届いているものなのでしょうか。たとえばTwitterなどのSNSによる応援コメントなどを読まれたりしますか?
藤田:映像作品というものは、やはりお客さんに観ていただいてナンボという思いがあります。ですので、SNSに意見を書いていただけるのは、励みになったり反省材料になったり、僕にとって力の源ですね。『アマゾンズ』に関しては、Amazonプライム・ビデオの視聴レビューの数がすごく多いので、めちゃめちゃうれしく思っています。あれって、相当好きでいてくれないと、あんなに熱い思いを書き込んでくれないですよね。
谷口:正直に言えば、観てくださった方たちのご意見にはあまり影響されないようにはしているんですけれど、やはり何か書き込みがあるとうれしいですね。Amazonプライム・ビデオの方から、「これだけの人が見てますよ」とか、「注目度が高いですよ」と聞いて、楽しんでもらえるのならもっと頑張っていこう、とか思ったりしてね。力をすごくもらっている気がします。『アマゾンズ』映画化決定のツイートをしたとき、今まで見たことのないようなRT数、いいね数をいただいて、これだけの人たちが映画を楽しみにしてくれるんだなあって、あらためて映画として帰ってくることができてよかったと思いました。今度、鷹山仁のフィギュアが発売されるらしいんですけれど、そういう現象もファンのみなさんがたくさんいらっしゃるからこそ、ですよね。感謝しています。
藤田:変身後じゃなくて仁さんのフィギュアというのがすごいですよね。水澤悠のフィギュアは出ないのかなあ。
谷口:これから出るかもしれないじゃないか(笑)。
――Season1と2を経て、今回の映画に出演したことで、藤田さん、谷口さんにとって大きく変わったことはありますか。
谷口:富に対する印象が変わった、というのはあるかもしれませんね。東映のヒーロー作品では、約1年間かけて新人俳優がだんだんと成長していく様子を見ることができて、それがひとつの醍醐味だったりするんです。しかし富の場合は1年間に1クール(13回)ずつ、という変則的な状況だったでしょう。アマゾン細胞にひっかけて言うわけじゃないですけれど(笑)、成長の速度がものすごく速くて、短い期間であっという間に顔つきが変わっていきました。芝居も短期間のうちにみるみる上達した。
最初のころは僕のほうが演技経験が長くて、"大人の仁"と"ヨチヨチ歩きの悠"という感覚でやってきたんですけれど、今回の映画での悠は仁の立派な好敵手、対決するにふさわしい存在になりました。この映画の撮影が終わったとき、初めて一緒に酒飲みに行ったんですよ。僕自身、富のことを俳優としてライバル、仲間だと思っています。相当なセンスを持っていますよ、こいつは!
藤田:ありがとうございます! 谷口さんとはSeason1のころから、先輩、先生という思いを抱いていまして、この人について行けば間違いないという、信頼感をもって接していました。そうやって始まった2人が、映画で対等の立場で戦うことができるというのは、もう感謝しかありません。また谷口さんと、いつかどこかで共演させていただく機会があったらうれしいですね。
――最後にお2人から、今回の映画にかけた特別な意気込みを教えてください。
藤田:13話ずつあったSeason1、2と違って、映画は撮影期間が短かったですから、それだけ入念に準備をしましたし、気持ちの入れようの面で集中力が撮影の間ずっと保てました。そういう意味では映画ということで気合いが入っていたと思います。
谷口:『アマゾンズ』に関わっていたキャスト、スタッフみんなが「いつか映画になったらいいな」と願っていたことが達成でき、無事に撮り終えることができたのは、本当によかったなと思えます。しかし、ここで終わりではなく、多くの方々に映画を観てもらい、楽しんでいただくまでが仕事だと思っています。ご覧になったお客さんの反応を聞くことができた時点で、俺たちは終わることができる――というか、役を「生きた」なと実感することができるんでしょうね。映画にあたっては、すべてのキャスト、スタッフ、特にSeason1、Season2に出演して、映画には出ることができなかったキャストたちもいますから、そういった人たちの思いをも背負っていかなければ、と強く思っています。ぜひ公開されたあかつきには、多くの人に観ていただいて、感想をいただきたいです。
藤田富(ふじたとむ)
1992年生まれ。大阪府出身。
モデルとして雑誌などで活躍し、俳優としてはドラマNHK『精霊の守り人 最終章』、舞台「B-PROJECTonSTAGE『OVER the WAVE』」ほか多数の作品に出演。『仮面ライダーアマゾンズ』では水澤悠/仮面ライダーアマゾンオメガ役として主演を務めた。
谷口賢志(たにぐちまさし)
1977年生まれ。東京都出身。
『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(1999年)ゴーブルー/巽流水(ナガレ)役でデビュー。俳優、モデルとして活動し、W主演映画「どうしても触れたくない」外川陽介役や舞台「真・三國無双」曹操役、「ジョーカー・ゲーム」結城中佐役、ヨウジヤマモト GroundY/s’yteの広告モデルなどを務める。2016年アマゾン・プライムビデオ配信作品『仮面ライダーアマゾンズ』鷹山仁/アマゾンアルファ役に抜てき。
マイナビニュースでは、今後も独占インタビューや関連ニュースなど、『仮面ライダーアマゾンズ』総力特集にてさまざまな角度から『仮面ライダーアマゾンズ完結編(仮)』の続報を取り上げていく。
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