フィンテックとAI
戦略投資のひとつがフィンテックだ。送金・決済を主軸にしたLINE Payと資産運用、仮想通貨、ローン、保険などを展開するLINE Financialの2つの事業を育てていく考えだ。
特に期待が高いのはLINE Payだ。出澤社長は「2018年はモバイル決済元年としてスマートフォンに本格的に浸透する年になる」と高い期待を示す。
2017年はLINE Payの決済高が急増し、グローバルアカウント登録者数も増えた。第2四半期に台湾で個人所得税の納付をLINE Payで可能にしたり、第4四半期にポイント使用期限を迎えたり、国内では年末商戦を迎えたりしたことで、いずれも決済高が急増した。特殊要因はありながらも、成長余地も大きいとなれば力が入るのは自然な流れ。LINEは利便性向上のために、2018年中に加盟店を100万店に増やし利用頻度を高めていく方針だ。
LINE Financialについては、LINE上での仮想通貨の交換や取引所の設置、ローンや保険といった新しい金融関連サービスの提供を行なう考え。事業のベースは今年1月に資本業務提携を行なったFolioというテーマ別投資をウリにする証券ベンチャーが担い、事業を拡大させていく。
また、ユーザーとの接点を強化すべく、LINEアプリにLINE Walletを実装する予定。昨年のLINEカンファレンスでアナウンスがあったとおり、LINEアプリ内の最下段にタブが設置され、そこから、LINE PayやLINE Financialへのサービスにつながっていくと見られる。
もうひとつのテーマがAIだ。AIは2017年から取り組んでいるAIアシスタント「Clova」のこと。今年は基本スキルや新機能の追加のほか、スマートスピーカー以外のデバイスの実現に向けて取り組んでいく考えだ。具体的には、家、車、ウェアラブルが重点分野となり、エコシステムを構築していくという。上半期中にClovaとアプリケーションを連携させるプラットフォームをつくりオープン化、サードパーティに公開していくという。
なお、2018年第1四半期以降の業績は、広告などの既存ビジネス、戦略投資分野の2つに分けて開示する。セグメントを刷新するのは、ステークホルダーへの事業への理解を促すための姿勢のあらわれ。それだけ戦略投資分野が重要だと認識しているということである。こうした情報開示への取組みからは、LINE自身、2018年が節目となる年になると考えているのではないだろうか。