製品作りと宣伝イメージの刷新だけでなく、ラストワンピースが、これを実現するための組織づくりだ。
日立製作所は2017年4月に、生活・エコシステム事業統括本部を設置。家電および空調を担当する日立アプライアンスと、家電製品の販売およびサービスを担当する日立コンシューマ・マーケティングを傘下に置いた。この組織で目指すのは、製販一体体制の実現だ。
日立の家電事業は、歴史的にモノづくり側が主導権を握る傾向が強い。だが新体制では、統括本部のトップに日立コンシューマ・マーケティングの社長を務めていた中村晃一郎氏が就任し、製販一体体制の推進を裏付けた。中村氏は「お客様の声を聞くためには、製販一体の体制が不可欠。この体制でなければ、360°ハピネスは成し得ない」と語る。
日立製作所全体の方向性は、社会イノベーション事業を主軸におき、これによって「社会の課題を解決する企業」になることを目指している。では、家電で取り組む社会ノベーションとはなにか。
「家電を使用する生活者の課題を解決することである。日立の家電事業は、『ヒューマンセントリック ソーシャルイノベーションビジネス』に取り組み、生活課題を解決する企業になる。これは、IT、OT、プロダクトを持つ日立だからこそ実現できるものだ」(徳永氏)
「日立の新しい家電がはじまる」というのが、新コンセプトによって目指す姿。日立の家電がどう変わるのか、それは現時点でぼんやりとしたものだが、今後の数年に渡る日立の家電の変化に注目しておきたい。