観光立県・沖縄。1年を通して温暖な気候のこのエリアは、日本有数のマリンリゾート地として名高く、2017年8月には初めて月間入域者数100万人を突破した。2013年からの月別入域観光客数を見ると、各月で過去最高記録を更新しており、観光事業の成長を見て取ることができる。
また、2013年度に10%だった入域者の海外比率は、2017年度(上半期までのデータ)に30%まで増加。インバウンド需要が沖縄の観光マーケットに大きく貢献していることがわかるだろう。
「ブッキング・ドットコムにおける沖縄への予約発生月(予約をした月)を見ると、1~7月の件数が平均的に多く、滞在月(実際に旅行をした月)を見ると、やはりシーズンである8月が最も多いという結果が得られました。国内旅行者は滞在月直前の予約が多いため、日本国内だけであれば予約発生件数は5月以降に偏ると思いますが、海外利用者の多いブッキング・ドットコムでは特定のシーズンがあるエリアでもバランスよく予約される傾向があります」
そう話すのはオンラインの宿泊予約サイトを運営するブッキング・ドットコム 北海道・沖縄地区 統括部長の山上洋平氏。「リードタイム」と呼ばれる予約してから実際に旅行するまでの期間が、外国人旅行客の場合は比較的長いのだという。宿泊施設側の心理からすると、直前まで空室が目立っているよりも、早期に予約が確定するほうが安心できるはずだ。
また、国別の宿泊費を比較してもインバウンドの特徴が見て取れるという。
「日本人の平均宿泊単価をゼロとした場合、中国からの旅行客は36%、香港は33%ほど高い傾向があります。これは家族連れや一棟貸しに宿泊するケースが多いためでしょう。同じアジア圏の韓国や台湾も日本より平均単価が高めという特徴があります」
なお、「日本よりも宿泊費が少ない国はサンプルの母数が少ないため、あまり参考にならないかもしれません」と、山上氏は補足した。
海外客の構成比をみると、台湾が30.6%と最も多く、続いて韓国21.2%、中国本土20.4%、香港10.2%とアジアの4カ国だけで80%を占める。
「台湾は沖縄まで1時間半程度と非常にアクセスしやすい環境で、気軽に訪れることのできる国の1つと言えるでしょう。韓国からでも2時間前後です」
東京からのフライトが3時間近くであることを考えれば、台湾から沖縄までの所要時間は約半分。アジア圏の中でも沖縄は身近なリゾート地なのだ。また、欧米の旅行者は石垣島や宮古島、慶良間諸島といった離島エリアに訪れるケースが多い。何もしないでのんびり過ごしたり、ダイビングなどのアクティビティを楽しんだりするのだという。
山上氏は「リードタイムの長さから、インバウンド顧客を獲得するためには、宿泊施設は早めに部屋の在庫を提供していただき、いかに早期に取り込みを行うかがカギになると我々は考えています」と、インバウンド獲得のポイントを教えてくれた。