電気自動車(EV)が普及の兆しを見せる中、新しい充電方法の提案を行っているのがクアルコムだ。同社はワイヤレス充電システム「Qualcomm halo」の製品化に向け、EVの充電器を製造するニチコンとライセンス契約を締結し、現在は技術移転を進めている。EVを停めるだけで充電が始まる社会が到来すれば便利そうだが、このシステムは実際に普及するのか。「オートモーティブ ワールド 2018」に出展していたクアルコム ジャパンに聞いてみた。
将来は走りながら充電も可能に?
クアルコムが普及を目指すワイヤレス充電システム「Qualcomm halo」は、クルマ側と地上に充電用のパッドを設置することにより、その場所に駐停車するだけでEVを充電できるというもの。同社は将来的に、充電パッドを道路に敷設することで、走りながらEVを充電できるようなシステムを構築することも視野に開発を進めている。
同システムの製品化に向けてクアルコムは、EVの充電器(有線)などを製造するニチコンと2017年7月にライセンス契約を締結。クアルコム ジャパンの小沢幸雄氏によると、同社とニチコンは現在、試作品の製作に向けた技術移転を進めているところだという。ニチコンによれば、製品化の目標は2021年頃とのことだった。
日産のEV「リーフ」に試乗した際、有線での充電を試してみた経験からいうと、ケーブルを充電器に差し込んで充電するのは大した手間ではないし、セルフのガソリンスタンドを利用するのと比べれば、ほとんど利便性に差はないという感じがした。しかし、クルマを停めるだけで充電できるのであれば、そちらの方が便利であることは間違いない。ワイヤレス充電システムの普及はEVそのものの普及にもつながりそうだが、社会に実装する上で何が課題となっているのだろうか。