日本の学生ニーズに沿ったノートPCを投入
それでは、学生をターゲットにNECが投入する新モデル「LAVIE Note Mobile」とはどのようなPCなのか。NECパーソナルコンピューター執行役員の河島良輔氏は、グローバルと日本では「PCのトレンドが異なる」と指摘する。
河島氏によれば、世界的にPCの薄型軽量化は進んでいるが、大きさは気にしない傾向にある。これに対して日本のユーザーは満員電車で持ち運ぶことを想定し、コンパクトで非常に軽いPCを好むという。
学生が求めるPCの要件としてNECが導き出したのは「A4サイズ以下のコンパクトさ」「1kg以下の軽さ」「15万円以下の価格」の3点で、これらの条件を満たすモデルは2017年に発売された約300機種中、12機種しか存在していないという。
学生に人気の高い製品としてアップルの「MacBook Air」もあるが、コンパクトな11型モデルはすでにラインアップなら外れており、12型のMacBookはやや高価だ。米国でK-12と呼ばれる高校生以下の層では「Chromebook」が過半数のシェアを持っているが、日本ではあまり普及していない。
また、グローバルに展開するPCメーカーの場合、各国のユーザーの声を採り入れて開発した製品の中から、日本市場に合うモデルを投入するのが普通だ。これに対してNECは、最初から日本市場を想定して開発できることが強みになっている。
こうした日本特別仕様の製品は高価になりがちだが、LAVIE Note Mobileは10〜15万円の比較的手頃な価格を実現した。CPUには安価なCeleronを使ったモデルも用意し、金属部材を減らすなどコストダウンに努めている。SSDの採用でサクサクと動き、満員電車で押されても耐える強度にもこだわった。
本体カラーは学生生活のファッションを想定した3色を取り揃え、在学期間に応じて契約できる3年、4年、5年の延長保証を提供するなど、きめ細かいニーズに対応する。最近話題の2〜3万円の格安ノートPCに比べればたしかに高価だが、数年間の実用性を考慮した、ツボを押さえた作りになっている印象だ。
このようにNECは日本市場に特化できるという強みを活かし、日本の学生ニーズを見極めた製品を投入してきた。若者のPC離れという危機をチャンスに変えるアプローチといえるだろう。