iOS 11で強化された面白いポイントは、iCloudの追加ストレージを家族で分け合えるサービスだ。
これまで、iCloudアカウントで「家族」に登録することで、共有カレンダーや写真アルバムを自動的に作り出し、HomeKitの操作へ参加させることができるようになる仕組みが備わっていた。Apple Musicには6人まで利用できるファミリーアカウントが用意され、月額1,480円で利用できる。しかしiCloudストレージに関しては、個別に必要な容量を契約しなければならなかった。
それが、前述の通り、iOS 11からiCloudストレージを家族で共有する機能が追加された。例えば3人家族のそれぞれの契約が50GB(月額130円)だと心許ないという場合でも、10円足せば月額400円で200GBの追加容量を分け合うことができる。あるいは、子供が写真をたくさん撮るようになってストレージが必要になったときでも、新たに容量を追加せずとも、共有のメンバーに分け与えるだけで良くなった。
以前からAppleはApple IDに紐付いた「家族」という枠組みでサービスを提供してきた。今後、iPhoneを継続して使ってもらうために、「家族」向けのサービスをさらに充実させていくことになろう。その中で、重視すべきは安心・安全に関する機能かもしれない。
Appleはもともと、子供に安心して使ってもらえるよう配慮してきた。それでも株主から、ペアレンタルコントロールの強化などの改善が求められている。また、コンテンツやアプリに対するアクセスのみならず、災害時の家族間の連絡手段の確保や、体調の急変などへの対応といった、様々な取り組むべきテーマが存在しているのだ。
一方、モバイルキャリアも、契約面での囲い込みに「家族」という枠組みを活用してきた。現在も、例えばT-Mobileは、データ無制限プランを家族4人で契約すると、1人あたり40ドルになる、というプロモーションを展開している。
AppleもApple Musicでは家族でのプロモーション価格を提案しているし、iCloudのファミリー共有も家族全員の支出額を減らせるという効果を生んでいるが、コストに換算できない価値を家族で共有する、というテーマは、より強いAppleを打ち出す可能性を孕んでいると評価できるだろう。