毎年1月にアメリカで開催される「CES」は、その年に世界のエレクトロニクスのトレンドが向かう先をいち早く知ることができるイベントです。2018年のポータブルオーディオはどこへ向かうのか。ここではCES 2018の会場で見つけた最新製品を振り返りながら予想してみたいと思います。
ヘッドホンやイヤホンにも広がる音声アシスタント
2018年のCESで最も注目されたトピックスは「音声アシスタント」と「音声入力インタフェース」でした。
国内では2017年秋ごろからGoogle、Amazonが自社のスマートスピーカーを発売。LINEも日本語力の高い独自の音声アシスタント「Clova」を乗せたスマートスピーカーを発売して、三つ巴の闘いが繰り広げられています。さらに2018年は、AppleもSiri搭載のスマートスピーカー「HomePod」を発売すると言われているので、これから一段と盛り上がりそうです。
2018年に音声アシスタントを搭載するポータブルオーディオ機器が一気に増えることは間違いありません。既にボーズが発売している「QuietComfort 35 II」やBraghiの「The Dash Pro」のように、ペアリングしたスマホを活用して音声アシスタントを素速く呼び出し、スマートスピーカーと同じように天気やニュースを調べたり、定額制音楽配信サービスから聴きたい楽曲を音声操作で検索・再生したりできる製品が、複数のブランドから出展されていました。
ソニーがアメリカで春に発売する完全ワイヤレスイヤホン「WF-SP700N」は、日本でも投入されることが決まっています。また、2017年に発売した1000Xシリーズのヘッドホンやイヤホンが、ソフトウェア更新によりGoogleアシスタントに対応することも発表しています。
JBLも上位モデルのヘッドホン・イヤホン「EVERESTシリーズ」にGoogle アシスタントを搭載。LGも「TONE Platinum SE」をGoogle アシスタントが使えるワイヤレスイヤホンとして発表しています。
Jabraの完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Elite 65t」はGoogle アシスタントとAmazon Alexaの両方に対応します。beyerdynamicも高音質なプレミアムワイヤレスモデルの「AVENTHO Wireless」と「XELENTO Wireless」が、ソフトウェアアップデート後にAmazon Alexaをサポートします。
さらに韓国のNAVERは、外国語のリアルタイム翻訳もできる完全ワイヤレスイヤホン「MARS」(音声アシスタントはClova対応)を鋭意開発中です。
音声アシスタントにより、イヤホンやヘッドホンは音楽を聴くためのデバイスとしての枠を超え、音声によるコミュニケーションをサポートしたり、情報端末としての役割をさらに強めてくることでしょう。タッチパッドリモコンやヘッドジェスチャーを交えた操作性の革新にも期待ができそうです。
イヤホン・ヘッドホンのほかにも、音声アシスタントを搭載したオーディオ系のスマートデバイスがあります。オンキヨーが試作機を発表したウェアラブルタイプのスマートスピーカー「VC-NX01」と、ソニーモバイルから間もなく正式にアナウンスがありそうなオープン型の完全ワイヤレスイヤホン「Xperia Ear Open-Style CONCEPT」です。
どちらの製品も耳の穴を塞がずに音楽が聴けて、しかも周囲の会話や環境音にも注意を向けられる「コミュニケーションデバイス」としての機能も果たすことができます。「キッチンに立って家族と会話しながら、音声アシスタントを呼び出してサクッとキッチンタイマーを呼び出す」なんて使い方ができるようになれば、音声アシスタントが一段と身近に感じられるのでは。