パナソニックは、米ラスベガスで開催されたCES 2018の同社メインブースにおいて、家電製品の展示を一切行わなかった。
CES 2018の会場で取材に応じたパナソニックの津賀一宏社長は、「他社のブースを見ると、まだ家電を中心に展示をしており、パナソニックだけが家電の展示がなかったことには、むしろ驚いた。パナソニックは、ユニークな存在になったともいえる」としながらも、「2013年1月のCESオープニングキーノートにおいて、パナソニックは、テレビだけの会社ではなく、BtoB領域にも全面的にシフトすると私が話をした。以来、それを体現するために、パナソニックブースから、できるだけ家電製品を減らしていくことに取り組んだ。メインブースでは家電でなく、BtoBや、オートモーティブを展示するというポリシーでやっている」と語る。
だが、完全に家電製品の展示を行わなかったわけではない。
パナソニックはCES 2018の会期中に、MGM GRANDホテルに特別ブースを用意。来場者を限定しながらも、そこに家電製品の展示を行い、商談などを行っていた。また、1月8日(現地時間)に行ったプレスカンファレンスにおいても、米パナソニック コンシューマ エレクトロニクスのマイケル・モスコウィッツ社長が登壇して、4K有機ELテレビやUltra HDブルーレイプレーヤー、そして、テクニクスブランドのターンテーブルなどの新製品を発表してみせた。
プレスカンファレンスで、モスコウィッツ社長は、「家電事業は、パナソニックの100年の歴史において、重要な製品であり、そのイノベーションに対しても、深くコミットメントをしている」と、家電事業の重要性を示してみせた。
有機ELテレビに自信
パナソニックが発表した新製品のなかで注目を集めたのが、有機ELテレビ「FZ950シリーズ」、「FZ800シリーズ」である。いずれも、55型、65型の製品を用意。欧州で6月から発売するとした。日本での発売は未定だが、これまでも有機ELテレビの新製品は、欧州での発売後に日本でも発売されていることを考えると、国内発売が検討されていることは明らかだろう。
新製品では、暗めのシーンと明るめのシーンで、それぞれに最適化した3D-LUT(ルックアップテーブル)を採用したことで、シーンに応じて最適な設定を適用。色とコントラストの表現力をさらに高めて、映画制作者の意図をより正確に再現するという。また、FZ950シリーズのサウンド面は、テクニクスの音響技術を採用した「Tuned by Technics」とし、低音域の表現力を強化した。
米パナソニック コンシューマ エレクトロニクスのモスコウィッツ社長は、「パナソニックは、66年前に17インチの白黒テレビを発売して以来、リビングルームのテレビ視聴を進化させ続けてきた。新たな製品は、『Bringing Hollywood to Your Home』を実現するものであり、家庭における映画体験を最高にするテレビである」とした。
また、過去3年間にわたり、ハリウッドのカラーリストと緊密に連携し、クリエイターの制作意図を反映した色再現にこだわっていることや、ハリウッドではパナソニックのディスプレイが、リファレンスモニターとして使用されていることなどを説明。
「FZ950シリーズおよびFZ850シリーズには、ハリウッドの映像ノウハウを反映した新たなHCXビデオプロセッサを採用している。FZ950シリーズには、テクニクスのブレードスピーカーを採用しており、最高の画質と最高の音質の両方を提供する」と胸を張った。
FZ950シリーズおよびFZ850シリーズは、HDR 10+に対応している。HDR 10+には、これまでのパナソニック、サムスン、20世紀フォックスの参加に加えて、新たにワーナープラザーズとAmazon Prime Videoが加わったことも発表した。