--日本RPA協会では、今年はどんな取り組みを進めるのでしょうか。
大角氏:今年は、RPAを本格的にスケールさせる企業がどんどん出てくると見ています。RPAを利用している既存企業だけでなく、RPAに取り組んで幻滅してもう一度チャレンジする企業も増えていきます。予想では、2018年が盛り上がりのピークを迎え、来年にはブームが終息し、地に足の着いた取り組みが本格化するとみています。
そこで、協会としては、徹底的に地方にフォーカスします。広島のデータセンターの協業モデルをベースにしながら、地産地消の仕組みを広げていきます。まずは福岡や四国といった都市圏に広げ、そこからさらに拡大させていきます。地産地消のエコシステムができれば、取り組みはさらに加速していくでしょう。
「新入社員はみんな自分でロボットを作ることができる」。そんな世界に近づけたいと思っています。
--RPAテクノロジーでは何に注力しますか。
大角氏:1つは、デジタルレイバーの高度化です。企業が取り組みをスケールさせるためのBizRobo!のラインアップを増やしていきます。例えるなら、昨年ではロボットの手足の部分を充実させてきました。今年は、目や頭の部分、つまり、センサーやAIの部分を強化していく予定です。
もう1つは、パートナーとの協業です。プロデューサーモデルをさらに増やしていきます。共同でベンチャー企業などを立ち上げて、2倍、3倍、4倍という規模と速度で、イノベーションを起こしていきたいと思います。パートナーは現在40社ですが、その10倍くらいには増やしたいと思っています。もちろん確実に収益化できるようにしていきます。
--RPAが普及して、ごく普通に使われるようになるまで何年かかると見ていますか。
大角氏:何年かはわかりませんが、確実に普及することは間違いないと思っています。RPAは、30年前のPC、20年前のインターネット、10年前のスマートフォンと同じです。若者が普通に使うツールになっていきます。そのためには教育が重要です。10のロボットを100に、1000にスケールさせます。スケールしてもロボットのメッセージを読み取って対応していきます。そうした力を養うように教育、研修に力を入れていきます。
--あらためてRPA成功のポイントを教えて下さい。
大角氏:まず、RPAという言葉を忘れましょう。RPAという言葉を使わずに経営や人事の技術として何が必要かを考えてみます。そこで大切なのは、スケーラビリティです。デジタルレイバーとしていかにスケールさせていくかを考えます。スケールしなければデジタルであるメリットがまったく生かせません。自然人レイバーとデジタルレイバーの違いは、リードタイムが圧倒的に早く、24時間働き、指示があるまで止めないことです。
2つめは体感することです。実際に働かせたらどうすごいのか。そのすごさを体感してください。また、わざとエラーを起こして止めてみて、どんな影響が出るのか体感することも大事です。ロボットに業務を依存していくことになります。エラーが起きたら想定外の事態が起こるはずです。そこで重要になるのが、人間によるマネジメントです。ロボットと会話してチューニングしていく必要があります。エラーが出たからといって手作業に戻っては意味がありません。どうロボと共存していくのか、それを体感することが大事です。
3つめは技術です。スケールするためのテクノロジー、プロセス、体制を学んでください。1つの製品では対応できないケースがでてきます。業務特性に応じて、さまざなツールを組み合わせる術を学んでいく必要があります。
繰り返しになりますが、成功の最大のポイントは、RPAをITの技術だと思わないことです。RPAは経営・人事の課題に対応する技術なのです。