2017年12月9日から公開されている特撮ヒーロー映画『仮面ライダー 平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』は、現在放映中の『仮面ライダービルド』と、放映を終了して間もない『仮面ライダーエグゼイド』が共演を果たすほか、近年の「平成ライダー」シリーズで活躍した"レジェンドライダー"たちの登場がファンの興奮を呼び、公開2日目で動員30万人、興収3.59億もの大ヒットスタートとなった。週末興行成績・動員数ランキング(興行通信社調べ)、ぴあ初日満足度調査ランキング(ぴあ調べ)、Filmarks映画初日満足度ランキング(Filmarks調べ)でも1位を獲得し、好発進を成し遂げた。

  • 写真左から、西銘駿、佐野岳、渡部秀、三浦涼介、上堀内佳寿也監督

映画大ヒットを記念し、2017年12月29日、東京・新宿バルト9にて「大ヒット御礼舞台挨拶」が行なわれた。ステージには、仮面ライダービルドと仮面ライダーエグゼイドを助けに各地からかけつけた"レジェンドライダー"の中から、仮面ライダーオーズ/火野映司役の渡部秀、相棒のアンク役・三浦涼介、仮面ライダー鎧武/葛葉紘汰役の佐野岳、仮面ライダーゴースト/天空寺タケル役・西銘駿が登壇。これら豪華メンバーに上堀内佳寿也監督を交え、ひさびさに復帰した「仮面ライダー」への思いや、映画にかける熱意などを語り合った。

トークショーは2部構成となり、まずは仮面ライダー鎧武/葛葉紘汰を演じた佐野岳と、仮面ライダーゴースト/天空寺タケルを演じた西銘駿、そして上堀内佳寿也監督の3人でトークが開始された。MCを務めたのは、『仮面ライダーゴースト』のチーフプロデューサーを務めた高橋一浩氏である。

『鎧武』"アルバイト紘汰"が見たかった

「ついこの間まで、ドライブと一緒に走っていた」と、TBSドラマ『陸王』での、竹内涼真(仮面ライダードライブ/泊進ノ介役)との共演について語り、会場を沸かせた佐野は「前回出られなかったので、今回の出演はうれしい。久しぶりに(ライダーの現場に)戻ってくることができた」と、昨年の映画(平成ジェネレーションズ)で変身後のみの出演だったことを受け、今回紘汰として出演できたことに素直な喜びを見せた。

佐野とは助監督時代からの付き合いだという上堀内監督だが、およそ3年ぶりに紘汰を演じる佐野に対して、何度も「紘汰じゃない!」と演技のやり直しを要求したという。佐野の「以前より、髪が短かったじゃないですか!」という言葉に、上堀内監督は「そう。心の中で『おっ、ちょっとした"登山家"が来たな』と思った」と、『鎧武』当時と現在とで佐野のイメージが変わっていたことに言及し、ファンからの笑いを誘った。

また、『鎧武』のラストで紘汰が「神」になったことに触れた上堀内監督に対して佐野は、「映画に登場する際、神様の格好で出てくるのか、どうするのか、監督と相談していたんです。でもみなさんが見たいのは、神様になる前のスタンダードな紘汰なんじゃないかと。いろいろ話し合った結果、神様ではあるんだけれど、それ以前のイメージを持った紘汰として出てきました」と、復活にあたっての役作りに苦心したことを打ち明けた。

さらに、上堀内監督は「(助監督時代)僕は神様になった紘汰に出会っていなかったので、なおさら"アルバイト紘汰"が見たかった」と、『鎧武』本編で印象深い「フリーター」スタイルでの再登場を想定していたと語った。しかし「フリーターが似合っていた当時とは、顔つきがぜんぜん違っていてね。キリッ!として。人としても役者としても、伸びて帰ってきてくれたのがうれしかった」と、俳優として経験を積みたくましく成長した佐野との再会を、あらためて喜んでいた。

高橋プロデューサーから「映画では、さすがの身体能力で"飛び蹴り"をしていたね」とアクション面の話題を振られた佐野は「あのシーン、台本では"手を振りかざす"だけだったんですけれど、せっかくだからアクションやりたいですねって監督に相談したら、撮影の当日にトランポリンが用意してあって(笑)」と、得意なアクションを披露できるシーンを作ってもらったことを明かした。

上堀内監督は「映画を見ていただければわかりますけれど、橋の上で飛んでいるシーンは、実際に佐野くん本人が飛んでいますからね。ちょっとズレていたら、ダムの下に落ちていた」と、代役なし、デジタルエフェクトなしのジャンプアクションがあったことを説明。もしも落ちていたら……という問いには佐野が「その時点で人生クランクアップでしたね」とジョークを飛ばして客席を爆笑させた。

さらに佐野は「久しぶりに高岩(成二)さんともお会いできました。鎧武の変身シーンも高岩さんが演じてくださったんですよ」と、歴代ライダーのスーツアクションを務めた高岩成二との再会を喜んでいた。高橋プロデューサーによれば、レジェンドライダー俳優がせっかく出演してくれるのだからと、今回のレジェンドが変身するシーンはすべて高岩がスーツに入っていたという、驚愕すべき事実を明かしていた。

『鎧武』当時は助監督だった上堀内氏が監督を務めるにあたって、佐野は「最初はカミホリさんのことを"監督"と呼ぶのが照れ臭かった(笑)。でも、『鎧武』の現場で常に寄り添ってくれた助監督さんで、芝居に関しても役者の気持ちを優先してくれていた人。当時から"ライダー愛"が強く、それは監督になっていっそう増しているように感じました」と、上堀内監督のライダーへの愛情に満ちた演出をリスペクトしていた。

昨年の『平成ジェネレーションズ』からおよそ1年ぶりにタケルとして登場を果たした西銘は「やはり"神様"を前にするとゴーストが弱いような気がしたので、オーラで負けないように赤い衣裳でがんばってきました!」と、全身赤いスーツで気合いを入れてきたことを告白。そんな西銘を見た上堀内監督は「変わんねえなあ!と思いました。もちろん、いい意味で。現場では『おはよーございますっ!』って元気よく挨拶してきて。うーん、いつもの西銘だなあと思って。レジェンドライダーの中で、いちばんレジェンド感がなかったよね(笑)」と、1年の歳月を経てもみずみずしさを失っていない西銘に対して安心感のあるコメントを残した。さらに「(西銘の)目つきが違いましたね。やっぱり、死ぬのを何度も繰り返した男は違う!」と、『ゴースト』の劇中や映画で何度も命を失い、その都度劇的な復活を遂げたタケルの難しい役柄を見事にこなした西銘の成長を実感していたようだった。

昨年の映画『平成ジェネレーションズ』のとき、「いずれレジェンドとなってライダーに戻ってきたい」と発言していた西銘だが、そのとおりに"先輩"ライダーとして登場した本作についての感想を求められると、「僕自身、先輩という感じがしなくて、ビルドもエグゼイドもあんまり後輩として見てなかったんです。エグゼイドの飯島(寛騎)くんにしても『ああ~1年間頑張ったんだなあ』と感心しているだけで(笑)。僕はまだ1年くらいしか空いていない"仮"のレジェンドですから、他のレジェンドライダーのみなさんのようなオーラをまとうまでにはいきません」と遠慮がちに話し、佐野から「気持ちは伝わったよ!」と笑顔で励まされる場面が観られた。

西銘はさらに恐縮し「いえいえ、僕なんて影が薄いですから、ゴーストだけに!」と自虐ギャグを飛ばし、客席のファンから温かい拍手を向けられていた。最後に西銘が「まだまだ"仮"のレジェンドですけれど、これからどんどん経験を積んで、本物のレジェンドになって何年後かに戻ってきたい」と、改めて大勢のファンにライダーへの思いをアピールした。