[前編はコチラ「大きな節目を迎えたApple(前編)、変化の年となった2017年を振り返る」]
2018年も様々な話題を振りまいてくれそうなApple。「iPhoneの製品ラインナップ」「モバイル時代のMac」「デスクトップMacの未来」「音声インタラクション」の4つのポイントから、2018年のAppleのプロダクトとサービスの動向を予想してみます。
ホームボタンのない新世代iPhoneが拡充
10周年のようなアニバーサリーイヤーの翌年は"祭りの後の静けさ"になってしまいがちですが、前編で述べたように、Appleの2017年は"始まりの年"でした。iPhoneの新たな10年の始まりであり、Apple Parkから始動するAppleの新たなフェーズの始まりです。そして迎えた2018年は、スタートからダッシュする加速の年。今年もAppleが様々な話題を振りまいてくれそうです。
例年通りなら、5〜6月に開発者カンファレンスWWDCを行い、9月にiPhoneの新製品を発表するイベントを開催するというパターンが繰り返されます。春に4つのOSのアップデートを発表し、サードパーティや開発者も交えた開発期間を置いて、秋にプラットフォームのアップデートのリリースです。では2018年、Appleはどのような新製品を投入してくるでしょうか。現時点で4つのポイントが考えられます。
まず「iPhoneの製品ラインナップ」。現在はiPhone 8とiPhone 8 Plusを主力機種に、1サイズのみのiPhone XでiPhoneの未来を垣間見せていますが、ホームボタンのない新世代のiPhoneへのシフトが進むでしょう。
噂レベルの話題を紹介すると、KGI SecuritiesのアナリストMing-Chi Kuo氏が、iPhone X Plusと呼べるような大きな画面サイズのiPhone Xが登場すると伝えています。画面サイズは6.5インチ。スマートフォンとしては手に余りそうなサイズに思えますが、現在、画面サイズ5.8インチのiPhone Xの方が、 5.5インチのiPhone 8 Plusよりも本体サイズが小さいという逆転現象が起きています。超狭額のiPhone Xなら、たとえ6インチを超えてもスマートフォンとして荒唐無稽なサイズではありません。
そして新しい液晶ディスプレイモデルもFace IDを搭載するそうです。インパクトという点では画面の大型化が話題になりそうですが、本当に重要なのはTrueDepthカメラが広くラインナップに普及すること。それによって、iPhoneの可能性が大きく広がります。
Aプロセッサは7mmプロセスで製造か
ただし、iPhone Xに採用された有機EL (OLED)ディスプレイ、TrueDepthカメラのVCSEL、フレキシブルプリント基板などが量産のボトルネックになった影響は2018年にも尾を引きそうです。
また、訴訟合戦に発展したQualcommとの対立もパーツ確保の問題を複雑にしています。今やiPhoneの販売台数は2億台を超える規模です。それだけの需要に応えるようにパーツを揃え、十分な量を供給するのは困難なことです。今年と同じようにOLED搭載モデルと液晶搭載モデルを共存させるなど、引き続きAppleはサプライチェーンの問題に対処しながら新世代iPhoneへのシフトを進めることになりそうです。
近年ライバル機種との差別化要因として存在感を増しているAプロセッサは、順当に進めば7nmプロセスで製造されるはずです。ただし、TSMCの7nm世代における製造技術の躍進が起こるのは、EUVリソグラフィを採用したチップが出てくる2019年以降になります。10nmから7nmに向上するとはいえ、2018年のAプロセッサは性能面よりも設計面がポイントになりそうです。