Pixel 2、Pixel 2 XL
スマートフォンの新製品「Pixel 2」と「Pixel 2 XL」は、Google アシスタントへの簡単なアクセスを特徴としています。側面フレームをギュっと握るとGoogle アシスタントが起動します。同時に発表されたワイヤレスヘッドセット「Pixel Buds」(詳細は後述)を接続していたら、Pixel Budsに触れて長押しするだけで、Pixel端末を取り出さなくてもGoogle アシスタントを使えます。
Pixel Buds
Pixel BudsはGoogle アシスタント対応端末と組み合わせると、同時通訳のようなスタイルでGoogle翻訳を使えます。Pixel Budsを装着した状態でGoogle アシスタントに通訳を頼むと、話し相手の言葉が自分の言語に翻訳されて聞こえ、自分の言葉もPixel Budsのマイクを介してPixel端末で翻訳、相手に伝わります。Pixel 2シリーズの発表ではほかにも、画像検索機能「Google Lens」やARステッカー機能「ARスタンプ」がアピールされました。
ただし、こうした新機能はPixel 2シリーズ限定ではなく、初代Pixelでも利用できます。Pixel 2シリーズのみの新機能にしておけば、同シリーズの売上が伸びるはずです。でも、そうしないのは、最新端末の販売台数を伸ばすことがGoogleの目的ではないからでしょう。Pixel 2シリーズの訴求点は減ってしまいますが、AIファーストのスマートフォン全体に最新の機能やサービスを提供することで、AIプラットフォームの普及を促せます。
Google Clips
2017年にGoogleが発表したハードウェア製品の中で、論争を巻き起こしたのが小型カメラ「Google Clips」でした。家族、友人、ペットなどを自動的に認識し、子供のベッドや乗り物などにClipsを装着しておけば、子供が笑顔になったときなどシャッターチャンスを逃さず自動的に記録してくれます。
これまでAIが撮影や補正をサポートしてくれるカメラはありましたが、ClipsはAIが自分の判断で記録するカメラです。発表後、「AIに監視されているようでCreepy (不気味)」という反応が多数でした。確かに、ちょっと先取りが過ぎている感があります。でも、AIに対する人々の意識が変化していけば、Clipsのようなカメラを抵抗なく設置できる人が増えるのかもしれません。
Google Home Mini、Google Home Max
スマートスピーカーのGoogle Homeシリーズには、ミニサイズの「Google Home Mini」と、オーディオ性能を追求した「Google Home Max」が加わりました。ラインナップ拡大の狙いは明らかです。一家に1台ではなく、一部屋に1台。そうなると、ユーザーがGoogle Homeの場所を意識することなく、家中のどこにいても「OK Google」でGoogle アシスタントにアクセスできるようになります。
Pixelbook
Chrome OSノート「Pixelbook」もGoogle アシスタント統合になりました。音声コマンド「OK Google」のほか、キーボード専用キーやPixelbook Penを使って素早くアクセスできます。たとえば、再生中の音楽のアーティスト名が分からなかったら、Pixelbook PenでGoogle アシスタントを呼び出し、アートワークに写っている顔写真をペンで囲むだけでアーティストの情報を表示してくれます。
Daydream View
日本でも発売開始になったDaydreamプラットフォーム対応VRゴーグル「Daydream View」は、レンズや装着方法などが改良されました。WebにおいてモバイルVRは、これまでの「ものを知る」ためのWebの世界を、「ものを体験する」世界にシフトさせます。自然なインタラクションを実現するという点で、音声とともにAIファーストの世界に私たちを導く技術になるでしょう。
創造的破壊へと歩み始めたGoogle
Gartnerの「2018年以降の米ITトレンド予測」というレポートで、1位は「ビジュアル/音声検索」でした。2021年までにブランドがビジュアル/音声検索をサポートするようにWebサイトをデザインし直すことで、デジタルコマースの売上が30%伸びると予測しています。そして2位は「デジタル大手によるセルフ・ディスラプション (自己による創造的破壊)」でした。2020年までにGoogle、Amazon、Apple、Facebookといったデジタル大手7社のうちの5社が、新たな成長のために、自らのビジネスを破壊して再構築すると見ています。
Googleはすでにセルフ・ディスラプションに進み始めたと言えるでしょう。Web検索をしない生活なんて今は考えられませんが、ググらない未来をGoogleが作ることで、次代もGoogleがIT分野におけるリーダーシップをとっていけます。2018年もGoogleは、AI+ソフトウェアに相乗効果をもたらすハードウェアを提供し続けることでしょう。
一つひとつは小さな変化です。「AI+ソフトウェア+ハードウェア」の効果を実感している人はまだまだ少ないと思います。でも、それほど遠くない将来、私たちは人々に寄り添ってくれるコンピュータにすっかり慣れてしまって、人々がコンピュータに合わせることを不自然に思うようになるのかもしれません。