市場は底打ち?
だが、日本のPC市場の低迷は徐々に長いトンネルを抜け出そうとしている。一般社団法人電子情報技術産業協会の調べによると、2017年4月~11月までの国内PC出荷は、前年同期比3.9%減となり、前年割れで推移しており、通期での前年割れも見込まれるが、業界関係者の声を聞くと、「市場は底を打った」との声もあがる。
というのも、2018年以降、いくつかの明るい材料があるからだ。
具体的には、2020年の東京オリンピックまでの景気上昇が見込まれ、PC市場にもその恩恵が生まれること、2020年1月のWindows XPの延長サポート終了に伴う買い替え需要が発生するとみられること、さらに、2019年10月に消費増税が実施されるとすれば、それに伴う駆け込み需要も想定される。
また、先頃、政府が閣議決定した2017年度補正予算では、中小企業を対象にしたIT導入およびクラウドサービス導入に補助金を支給する「サービス等生産性向上IT導入支援事業」に500億円のほか、「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業」で1000億円を計上したことも追い風になるとみられる。生産性革命に名称が変わりつつある「働き方改革」も、PC市場にとってはプラス要素だ。
加えて、2020年には小学校でのプログラミング教育の必須化が予定されており、これもPCの販売拡大につながる。すでに量販店店頭では、小学生向けのPCコーナーが設置されるといった動きもみられており、2018年以降、この需要が徐々に盛り上がりをみせるだろう。 このようにPC市場を取り巻く環境は明るい材料が目白押しだ。そして、従来は、電機メーカーという枠のなかでPCビジネスを行っていた体制から、国内PCメーカー各社が、PC専業という体制でビジネスを行える体制となっていることは、最優先でPC事業の取り組むことができるPCメーカーが増えたことにもつながり、それも、事業戦略上、プラス要素になりそうだ。
PCメーカー各社が、2020年まで続く、こうしたプラス要素を、収益や成長として、確実に刈り取ることができるか。その最初の一歩が2018年ということになる。