奥飛騨温泉郷、北アルプスを正面に望む雄大な雪見露天風呂
「奥飛騨温泉郷」(岐阜県高山市)でもう一軒紹介したいのが、露天風呂天国として知られる新穂高温泉の「旅館 焼乃湯」。豪雪地帯の奥飛騨では雪の影響を最小限にするために、塀や樹木で露天風呂を囲んでいる宿もあり、雪が大量にあるにも関わらず、露天風呂からあまり見えずに残念に思う場合も少なくない。
しかし、「旅館 焼乃湯」の露天風呂は本当に開放的。周囲の雪を全部見られる上に、雪に彩られた美しい北アルプスが正面に鎮座している、雄大な眺めの雪見露天風呂だ。さらに、貸切露天風呂の方が眺めが良く、ぜいたくな雪見を貸し切りで満喫できる。山の眺めが素晴らしいので、天候がいい日を選んで訪れたい。宿に隣接して公共の無料足湯もあり、足湯からの眺めも絶景だ。
●information
新穂高・中尾温泉「旅館 焼乃湯」
住所: 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷中尾365
アクセス: 平湯温泉バスターミナルから新穂高ロープウェイ行きバス28分、中尾高原(足湯前)下車徒歩2分
白骨温泉、歴史を感じる岩風呂で雪見の温泉三昧
奥飛騨温泉郷に隣接した長野県側の「白骨温泉」(長野県松本市)も、雪見露天風呂に最適な温泉地。名前の通り白濁の温泉なので、銀世界の雪景色に湯の色もマッチして大変に美しい。冬季は迂回が必要だったが、県道改修で国道から直接行けるようになりアクセス性も向上した。冬季も営業している旅館には、全てに露天風呂があるので、予算や好みに応じて宿を選べば大丈夫だ。
広くて有名な「泡の湯旅館」の露天風呂や、白樺林に面した「小梨の湯笹屋」の貸切露天風呂も素晴らしいが、温泉好きにオススメなのが「白船荘 新宅旅館」。源泉温度49.8度のお湯が毎分250Lも湧出しており、真冬でも加熱の必要がない天然の温もりを体感できる。
露天風呂はゴツゴツとした風格ある岩風呂。白船(白い湯船)が訛(なま)って白骨になったと言われる、温泉地の歴史を目の当たりにする景観だ。宿泊者専用の貸切風呂も完備しており、温泉三昧を楽しめる。
●information
白骨温泉「白船荘 新宅旅館」
住所: 長野県松本市安曇白骨4201
アクセス: アルピコ交通上高地線新島々駅から白骨温泉行きバス1時間23分、終点下車徒歩10分(冬の路線バスは全便乗鞍高原温泉経由で運行)
五十沢温泉、温泉泉質が極上の雪見露天風呂で極楽
関東地方から本格的な雪見露天風呂を楽しむ場合、関越道や上越新幹線で新潟県へ向かうのが最も手っ取り早い。中でもオススメなのが六日町の「五十沢温泉(いかざわおんせん)」(新潟県南魚沼市)。全国的な知名度はないが、泉質極上の宿として温泉マニアの間では有名だ。
大浴場も露天風呂も混浴で露天風呂は大浴場の先にあるので、通常は女性にはハードルが高いが、冬は大浴場に湯気が立ち込めて視界が効かないので、女性にも好都合。つるつるすべすべで、ほのかに硫黄の香りもする極上の湯の良さを実感すれば、混浴であることも忘れてしまうに違いない。混浴大浴場の他に、男女別の内湯小浴場も完備している。
●information
五十沢温泉「ゆもとかん」
住所: 新潟県南魚沼市宮17-4
アクセス: JR上越線六日町駅から車で10分。宿泊者は予約制の送迎あり
松川温泉、地熱発電所の温泉暖房で南国のような暖かさ
最後に東北地方の本格的な雪見露天風呂を紹介しよう。「松川温泉」(岩手県八幡平市)は日本初の地熱発電所がある温泉地として知られるが、その最大のメリットが発電所から供給される地熱による温泉暖房。これにより旅館の内部が真冬でも南国のように暖かく、快適に滞在できる。
松川温泉は岩手県の山間部にしてはアクセス性も良好。中でも一番奥にある「峡雲荘」は宿の敷地内にバス停があり、雪道を延々と歩くことなく宿に到着できるし、バスを待つのもロビーで待っていられる。
松川温泉「峡雲荘」は高台にあり、露天風呂からの眺めも開放的。豪雪地帯だが露天風呂は常に温かく保たれており、豊富な湯量を物語っている。写真は混浴露天風呂だが、白濁の硫黄泉なので入ってしまえば全く見えない。他にも女湯の大浴場に女性専用露天風呂が完備している。
●information
松川温泉「峡雲荘」
住所: 岩手県八幡平市松尾寄木松川温泉
アクセス: JR東北新幹線盛岡駅から松川温泉行きで約2時間、終点下車すぐ
今回は冬季の交通アクセス性や温泉泉質の良さ、眺めの良さから厳選して紹介したが、雪見露天風呂は他にも無数にある。また、近年は雪まつりや氷濤まつりなど、各地で冬季限定イベントを実施しているので、イベント期間中に行くと一層楽しいに違いない。この冬こそ、絶景の雪景色と温泉を同時に堪能していただきたい。