秋から冬にかけては空気が澄み、各地で絶景が楽しめるようになるので、ハイキングに出かける人も多いだろう。今回紹介するのは、人気観光地・箱根から、「金太郎」伝説が残る金時山(標高1,212m)に登った後、御殿場市の乙女峠(標高1,005m)まで尾根伝いに山道を歩く、およそ3時間のハイキングコースだ。金時山山頂は、富士山の絶景が楽しめることで有名だが、乙女峠では、それ以上の絶景が待ち受けている。
金時山ハイキングは複数ルートあり
金時山の登山ルートは、足柄峠方面からのルートなど複数あるが、今回選択したのは、登山道がよく整備され、初心者でも歩きやすい矢倉沢峠経由の登山道だ。登山口まではバスで行くことになる。
小田原駅東口からなら桃源台方面行きのバスで「仙石」バス停で下車する。新宿の高速バスターミナル「バスタ」、または東京駅から高速バスなら「金時登山口」バス停で下車する。両バス停は200mほど離れており、金時登山口バス停付近に登山道の案内板があるので、ここから歩き始めることにしよう。
取材したのは12月の上旬だが、道路の端には氷が張っているのが見られた。この付近でも標高は意外に高いので、朝晩はかなり冷え込むのだ。民宿やペンションの建物を見ながら歩いていくと、道の右側に登山口が現れる。ハイキングコースは落ち葉に埋めつくされており、もう少し早く訪れたなら、きれいな紅葉が見られたのかもしれない。
登山道で箱根を一望
木々に覆われた登山道を20分ほど登っていくと、道に白いものが見られた。最初、霜が降りているのだと思ったが、よく見ると雪が積もっているのだ。つい数週間前に、芦ノ湖に紅葉を見に来たばかりなのに、冬は本当に駆け足でやってくるのだと実感した。
歩き始めて20分ほどで、少し開けた広場に出るが、この場所は矢倉沢峠で、軽食やお酒などを売っている茶屋がある。ここから先は景色が開けた気持ちのいい道が続く。行く先の空を見上げれば、澄み渡った青々とした空が視界に入り、普段は全く意識しない、宇宙の広がりすらも感じられる。後ろを振り返ると、谷間をはさんだ向こうの山の中腹に、煙が沸き立つのが見えるが、おそらく大涌谷(おおわくだに)だろう。
もう少し登ると、登山道脇に大きな岩があって、岩に上がると箱根の景色が一望できる。正面に見えるのは、箱根で最高峰の神山(標高1,438m)で、右手の奥の方にはわずかに芦ノ湖も見える。やや残念に思われるのが、あまりにも広すぎるゴルフ場が見えることだ。
さて、さらに登っていくと、次第にその形から「猪鼻山」の別名を持つ、金時山の特徴ある山頂が正面に迫ってくる。途中、公時神社から上がってくる登山道と合流する。