他メーカーにはない有機ELやペン入力に魅力
だが日本のPC市場には複数の国内メーカーがひしめいており、プレミアムモデルがよく売れるなど特殊な市場とされる。果たして今からサムスンが割り込む余地はあるのだろうか。
日本のPC市場は再編が進んでおり、富士通はNECレノボグループに合流し、東芝も先行きが危ぶまれている。その間隙を突いて参入したのがファーウェイで、モバイル製品で培った技術を活かした薄型軽量の2-in-1モデルを投入している。
これに対してサムスンのGalaxy Bookも2-in-1型を採用する。本体カバーを兼ねた同梱のキーボードを着脱することで、タブレットとしてもノートPCとしても利用できる。キーボードはマイクロソフトのSurfaceシリーズのように物理的につながるので、合体させると即座にキー入力が有効になるタイプだ。
サムスン独自の強みは「有機EL」や「ペン入力」だ。12インチモデルの画面にはSuper AMOLEDを搭載しており、スマホと同じ高精細で鮮やかな描画が特徴だ。世の中には有機ELを採用したWindows PCはほとんど選択肢がなく、ユニークな存在といえる。
ペン入力にはGalaxy Noteシリーズと同じ「Sペン」に対応する。ワコムの技術を用いたSペンは世代を重ねるごとに書き味が良くなっており、Galaxy Bookは最新の4096段階の筆圧検知に対応する。ビジネス用途でも文書にちょっとした手書きを加えたいという場面は多いはずだ。
ただ、Galaxy Bookの国内展開はやや実験的な印象も受ける。販売チャネルは限定的で、実機を手に取れる場所は少ない。キーボードは海外と同じ英語配列のままになっており、日本市場に本格参入したとは言いがたい状況だ。
今後のWindows PCはLTE搭載機の増加が見込まれており、モバイル技術や各国のキャリアとの連携が重要になってくることは間違いない。世界のスマホ市場で高いシェアを誇るサムスンが、その強みをPC事業で活かせるかどうかが鍵になりそうだ。