川島医師は「ステロイドの塗り薬を塗って、もなかなか症状が改善しない」という声も聞くそうだが、使用方法に問題があるケースが大半とのこと。

たとえば、風邪を引いて病院で診てもらい、薬を処方してもらうとする。2~3日後に熱が下がり、体のだるさもなくなったら「もういいや」と薬を飲むのを止めてしまうことだろう。だが、ここで止めてしまうと治ったつもりでいても風邪をぶり返したり、原因不明の体調不良が続いたり、最悪の場合は症状が悪化したりするというケースも無いわけではない。

アトピーの症状も同様だ。医師が処方する薬の種類や量は、ちゃんと理由があって決められている。目に見える炎症を抑え、さらに中に潜んでいる隠れ炎症にもアプローチするには、一定の期間を必要とする。正しい使い方をすれば、回復力も格段に上がるのだ。

「薬は塗っているのに効果が確認できない」という場合は、塗り方に問題があるケースが多いという。個人差はあるが、ステロイド剤使用時に全顔を塗る際の目安としては、中指の第一関節分の量(0.4~0.5g)が適量と言われている。少しずつ出していると適量を守れないため、全顔量を取り、おでこや両頬、あごの4カ所に置いてから塗るのがよい。「1フィンガーディップユニットが全顔の量」と覚えておこう。

  • 薬を塗っても効果が感じられないのはどうして?

    薬を塗っても効果が感じられないのはどうして?

炎症軽減後に肌の基礎力を高める

最後に川島医師に薬を使うことなくかゆみを和らげる方法を教えてもらったので紹介しよう。

■かかない

アトピー性皮膚炎はかけばかくほど炎症がひどくなり、かゆみは増していく。それならば、かゆみをぐっと我慢して「かかない」ことが大切。川島医師は患者に対して「手を組むこと」を対処法として伝えているが、意外に効果があるとのこと。

■ゆっくりと息を吐く

これは怒りを抑えるときにも使用される方法。ゆっくり息を吐くと「かきたい」という気持ちが落ち着くという。

■対象部位を冷やす

「どうしてもかゆい」という場合、保冷剤や冷水で患部を冷やすのも手だ。逆に温めてしまうと、血行が促進されてかゆみの症状がひどくなるケースもあるので注意するように。

かゆみや炎症が軽減したら、肌の基礎力を高めるケアを行う。肌のバリア機能を高める方法、それは「保湿」だ。

(1)「肌の水分量を高める」⇒(2)「皮膚を保護する」というステップは普段行っているスキンケアのお手入れ法と一緒。保湿力が高まるとバリア機能が高まり、炎症を抑えられる。

「最近では、紫外線がもたらす肌ダメージの影響を考慮し、保湿ケアと同時に紫外線対策を行うこともおすすめしています」

からだエイジング