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こうした変化もあって、今回のプライムタイムでの全国放送に対し、「息子は、自分の思いが全国に伝わるのであれば、一緒に番組を作りましょうっていう感じなんです」といい、最近ではよく「自分と同じような境遇の人たちをサポートするような仕組みができないか」と張江氏に話すほど、ある種の使命感も芽生え始めた様子。

むしろ、張江氏が遠慮がちになると、「もっとぶつかってきてほしい」と受け止めようとする態度をとるそうで、張江氏は「最近はお互い平気でケンカになったりして、確実に距離が縮まってる感じがあります。決して親子の感じではなく、"同志"の感じで見てるんですよ。今まで、何かを一緒にやるとか一緒に遊ぶ人がいなかったので、そこが彼の中で大事なことなんです」と分析する。

放送時間が上がっても、息子が目撃した両親による残忍な犯行の表現はカットせず、「あくまで直球勝負で行きます。例えば、ナレーターを有名な俳優さんにお願いするという考え方もあると思いますが、そんな小手先のことをやっても何も意味はないので、息子の気持ちをお茶の間にどう届かせるかということを意識しています」と、鋭意編集中。

放送日は、日本テレビで映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の地上波初放送、テレビ朝日で『金曜★ロンドンハーツ3時間スペシャル』、TBSで『中居正広のキンスマスペシャル』という強力コンテンツが裏番組に編成されている中、「息子の生声をベースに2時間放送するというのは、視聴者に届くのか…。心配でもあるんですが、われわれ現場からぜひ全国放送でやりたいと訴え、編成担当者も受け止めてくれたので、奇をてらわず勝負します」と意気込んだ。

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    (C)フジテレビ

『ザ・ノンフィクション』に追い風

『人殺しの息子と呼ばれて…』で大きな反響を受けてから、『ザ・ノンフィクション』への"追い風"を実感しているそうで、「前日の放送が、翌日に話題になるっていう、昔よくあったテレビの見られ方をしてる感じですね」と手応えを語る張江氏。『人殺しの息子と呼ばれて…』はイレギュラーな形だったが、「女性目線のネタに徹底するという取材方針は、変わらずやっていきます。ただ、『ザ・ノンフィクション』という枠にとらわれてしまうと窮屈になってしまうので、冒険的なテーマもやって、カラフルなラインアップにしていきたい」と意欲を示した。

それを踏まえ、今後は12月24日に、日本の有名ラーメン店主が上海に出店するドタバタを描く作品を予定。年明けには、番組史上初となるアメリカ・スペイン・カナダの3カ国取材で、大西洋のクロマグロを追いかける作品を予定し、張江氏も「一本釣りでどんどん獲れていく。とにかく画がすごいです」と太鼓判を押す。そして、人気シリーズ『雄太とユキノ』は、2人がついに結婚することになり、「涙、涙の放送になると思います」と予告した。

来年春で『とんねるずのみなさんのおかげでした』『めちゃ×2イケてるッ!』というゴールデンタイムの2つの看板バラエティが終了するフジテレビだが、一方で、今年10月には、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(1988~89年)の宮崎勤元死刑囚の取り調べでの肉声、暗殺された金正男氏の生前最後の映像と、報道・情報番組のスクープが連発。今回の『人殺しの息子と呼ばれて…』がプライム帯で実績を出せば、白紙ベースでの見直しを表明している今後のタイムテーブル作りに、影響を与えることもあるかもしれない。

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    『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ、毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)
    普段見ることが出来ない人間の一面や人間関係、生き方、ひとつの職業を深く掘り下げて見えてくる隠された本質、記憶に残る事件や出来事などを取材し、その事柄のありのままの姿、事実を伝えていくドキュメンタリー番組。12月17日は、歌舞伎町で生きる40歳のホストに密着した『追い込まれた男』が放送される。 (C)フジテレビ