真相に近づくヒント
数千億円をつぎ込んでそれ以上のリターンを得る方法を楽天は描いた。そのシナリオは現時点では明らかにされていないが、本音に近づけそうなヒントはある。楽天は顧客基盤とそこから取得できるデータを事業展開の中核に据えていることだ。11月に行なわれた決算説明会において、三木谷浩史会長兼社長は楽天の基本戦略について次のように話している。
「楽天市場単体で考えるのではなく、他のECとの組み合わせ、あるいは複合体で全体を伸ばす。そこから出てくるデータ、これがアセットになるが、クレジットカードデータ、そこに紐づくロケーションデータ、他のデータを含めることによって、独自の広告ビジネス、投資活動につなげることがが可能になる」(三木谷氏)
データを強調した三木谷氏の発言。そこからは、楽天が目指す携帯キャリア事業は、通信料をあてにした事業ではないと見ることができる。事業連携によるサービスの拡大と収益の増大といった見方も真相を見誤る恐れがありそうだ。顧客基盤を増大させ、そこから得られるデータを活用して別の何か生み出す。楽天は携帯キャリア事業にそうした価値を見出したと見るほうが、少しでも真相に近づるのではないだろうか。