楽天は14日、携帯キャリア事業へ新規参入を目指すと発表した。総務省の周波数割当が認定されれば、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに並ぶ、第4の携帯キャリアが誕生する。
サービス開始は2019年
総務省は携帯電話のトラフィック増大に対応するため、防衛省が利用する1.7GHz帯、放送事業者等が利用する3.4GHz帯を別周波数帯に移行させ、携帯電話向けに割り当てる計画を発表している。周波数の割り当てに向けて、2018年の1月から2月にかけて申請受付が行なわれ、3月末までに結果が判明するというスケジュール。 楽天はこの割当受付に応募・申請し、携帯電話キャリア事業の展開を目指す考えだ。
携帯キャリア事業の開始に向けては、新会社を設立。サービス開始は2019年中を予定、ユーザーは現行のMVNO事業の楽天モバイルと合わせ、1500万人以上を目指す。
なぜキャリア事業を目指すか
では、なぜ携帯キャリア事業を目指すかだ。このあたりについて、楽天広報部は、柔軟な携帯電話サービスの提供をひとつの目的としているという。
楽天モバイルでは、NTTドコモから携帯電話回線を借り受け事業を展開しているため、料金プランの組成や回線の利用にあたって制約がある。携帯キャリア事業に足を踏み込むことで、このあたりが自由になる。より低廉で利用しやすい携帯電話料金の実現を掲げ、事業参入に向けた考えを示している。
また、EC事業や金融事業など楽天の事業資産を結びつけることで、収益を確保していくことも考えているという。
ただし、不可解なこともある。携帯キャリア事業を展開するには、多額の資金が必要になることだ。総務省が求める最低限の審査基準では、周波数の移行・再編にあたり、割当を受けた事業者が費用を負担。1.7GHz帯で1950億円、3.4GHz帯で110億円の費用が最低限必要であるとしている。
これを受け、楽天は新規参入に向けて資金調達を予定。2019年のサービス開始時に約2000億円、以降、漸増しながら、2025年に最大6000億円の資金調達残高になる見込みだ。
多額の費用をかけてまで、携帯キャリア事業を目指すのはリスキーともいえる。にもかかわらず、楽天が携帯キャリア事業を目指すのは、経済合理性を見出したからに過ぎない。