渋谷ヒカリエ11Fのヒカリエホールに、美しくも力強い音色の管弦曲が鳴り響いた。国際的ロシア人指揮者、ワレリー・ゲルギエフの指揮のもと、演奏するのはロシアのマリンスキー歌劇場管弦楽団ストラディヴァリウス・アンサンブルだ。
管弦楽器の音合わせが始まると、多くの人たちが演奏を聴こうと集まってきた。というのも、ヒカリエホールはコンサートホールのように閉鎖された場所ではない。むしろオープンスペースのような空間で、11Fフロアをたまたま通りかかった人でも演奏を聴ける。もちろんチケットも不要だ。国際的な指揮者と国際的な管弦楽団の演奏を無料で、しかもすぐ間近で聴くことができる。多くの人が集まってこようというものだ。
ロシアづくしの演奏会
演奏されたのは4曲。ソビエト連邦時代の作曲家、ドミートリイ・ショスターコーヴィチの1曲、そしてロシアの作曲家、ピョートル・チャイコフスキーの3曲だ。最初の1曲は日本のピアニスト・横山幸雄氏がピアノで、ロシアのティムール・マルティノフ氏がトランペットで参加した。2曲目、3曲目はロシアの国際的なヴァイオリニスト、ワディム・レーピン氏が演奏に参加した。4曲目はクラシックにうとい筆者でも曲名を知っていた「弦楽セレナーデ」。聴いたことのある曲調に、少しほっとした。
さて、なぜロシアで作曲された曲をロシアの方々が演奏したのか。それは、「ロシア・イン・ジャパン実行委員会」によるものだからだ。日露文化交流を促進するために、この取り組みは始められた。