鋭いキャラクターラインが特徴、三菱の「赤」も新たに開発
そもそも、アイポイントの高さや広い室内を特徴とするSUVに、スタイリッシュで俊敏な走りを予感させるクーペのスタイルを取り入れるのは、2つの矛盾する価値を1台のクルマに盛り込むことでもあるので、難しいという。三菱自動車はエクリプスクロスのデザインで、アンビバレントな2つの価値の両立に挑戦した。
林CPSはエクリプスクロスのデザインについて、車体側面の上部には「塊から彫刻刀で削ぎ落としたような」鋭いキャラクターライン(ボディの側面に入るラインのこと)を入れつつ、一方の下半身には「マッシブで力強いフェンダーのデザイン」を採用し、「三菱らしい力強さ」を表現したと胸を張る。
印象的な「ダイヤモンドレッド」は新開発のカラーだ。塗装には「多コート重ね塗り」という複雑なプロセスを導入。まずメタリックな赤を塗り、その上から半透明の赤を重ねることで、色合いに深みを持たせた。試乗会の日は残念ながら曇っていたが、太陽光が当たると陰影はよりくっきりしてくるという。
インテリアは水平基調、車内には目に見えない工夫も
次にインテリアだが、インパネは水平基調としている。車体姿勢を確認しやすく、前方の視認性も向上するため、SUVに適したデザインとして水平を選んだと林CPSは説明していた。
見た目ではないが、デザインのこだわりとして林CPSが挙げたのは、後席に施した工夫だ。後席は200mmのスライドが可能で、前に出せば荷室が広がるし、再後端まで下げればクラストップクラスのレッグルーム(座った時に足を入れておく空間のこと)が確保できる。後席のシートリクライニングは9ポジションの細かい設定が可能。クーペスタイルなので、どうしても後席に向かってルーフが低くなってきて、室内も狭く感じてしまうわけなのだが、それだけに、エクリプスクロスでは後席の居住性にこだわっているのだろう。
デザインは画像の通り、SUVでありつつクーペのスタイルを取り入れることに成功しているように見える。それでは、林CPSが“ランエボ”を引き合いに出しつつ語った「ドライビングフィール」の面で、エクリプスクロスの出来栄えはどうなのだろうか。