日本では2018年3月の発売予定となっている三菱自動車の新車「エクリプスクロス」。競争の激しいコンパクトSUV分野に登場する新手は、どんな商品性を特徴とし、並み居るライバルといかに差別化を図るのか。試乗会で商品企画担当に聞いた話をもとに考えてみたい。
成長が続く市場環境
エクリプスクロスは、三菱自動車が「『パジェロ』に代表されるようなSUVとしての基本性能の高さと、『ランサーエボリューション』の『スーパーオールホイールコントロール』(S-AWC)に代表されるような優れた走行性能」という同社のヘリテージを活用し、競合ひしめくコンパクトSUV市場に投入すべく開発した新型車だ。
三菱自動車は先頃、大磯でエクリプスクロスの試乗会を開催。その会場では、商品企画を担当したチーフ・プロダクト・スペシャリスト(CPS)の林祐一郎氏から、このクルマが参入する市場の状況や商品特性などを聞くことができた。
まず市場だが、自動車販売は世界的に右肩上がりでの成長が予想される。中でも、最も大きな伸びが期待されているのがSUVだ。SUVの販売台数は、コンパクトSUVに牽引される形で増加していく見通しとなっている。
コンパクトSUVの用途は街乗り? 購入者は「外観」重視
SUVを選ぶ顧客は、レジャーやスポーツなどにクルマを使うケースが多いのかというと、最近ではそうでもないらしい。林氏のプレゼンによれば、日本でコンパクトSUVを選ぶ顧客のうち、用途としてレジャーやスポーツを挙げる人の割合は、2011年には28%だったのに対し、2016年には19%に減少したとのこと。つまり、こういったクルマは街乗り用途で存在感を増しているのだ。
街乗りを重視するためか、コンパクトSUVを購入する顧客は「スタイル・外観」を重視するようになっているという。そういった状況を受けて、自動車メーカーはスタイリッシュなクーペスタイルを盛り込んだSUVの品ぞろえを充実させている。三菱自動車もこういったニーズに応えるべく、「SUVの走行性能とスタイリッシュクーペの世界観の融合」(以下、発言は林CPS)を目指し、2013年にエクリプスクロスの開発をスタートさせた。
それでは、顧客が最も重視するデザインの面で、三菱自動車がエクリプスクロスに盛り込んだ要素とは何か。次ページで見ていきたい。