選考委員から満遍なく点数を集めた「XC60」
XC60が受賞した要因は「選考委員が満遍なく点数を入れたこと」と語るのはモータージャーナリストの岡本幸一郎氏だ。輸入車勢がトップ2を占めた今回の選考結果には岡本氏も驚いたというが、日本勢への採点がばらつく一方で、確かにXC60は着実に得点を伸ばしていた。
XC60に乗った印象を岡本氏は、「クルマの出来はいい。将来を見据え、軽量化であったり、2.0L以下のエンジンしか載せないことであったり、電動化であったりと、新しいものは取り入れている。デザインも(これまでの)アグレッシブな感じからエレガントになった」と評価する。
こういった新世代ボルボの考え方は、実は昨年の日本カー・オブ・ザ・イヤーで4位につけた「XC90」でも採用となっていたそうだが、XC90はサイズが大きくて高価でもあるため、XC60は「普及するクルマ」として評価を集めたのでは、というのが岡本氏の感想だ。
選考委員を務めたモビリティジャーナリストの森口将之氏も、「新世代ボルボの魅力が多くの人に伝わったのでは」と評価する。モータージャーナリストの清水和夫氏はXC60を「いいクルマ」だとし、高級路線の新世代ボルボを「スウェーデンのレクサス」と独特の言い回しで表現していた。
モータージャーナリストの御堀直嗣氏も、新世代ボルボの方向性に良い印象を持っている1人だ。XC90で採用したデザインやPHV(プラグインハイブリッド)技術などを、ひとまわり小さいサイズのXC60にも拡大したのはボルボの「進化」と受け止めているという。
次は「XC60」より小型のSUVが登場
イヤーカーに輝いたXC60に対し、話を聞いた4人の選考委員は軒並み好意的な評価を下していた。そうなると注目したくなるのが、ボルボから登場する予定となっている新型SUV「XC40」の売れ行きだ。
岡本氏によると「XC60は世界で最も売れているボルボ車だが、日本では3番目。日本で最も売れているのは『V40』」であるとのこと。日本では小型のクルマの方が受けるとすれば、ボルボのSUV「XC」シリーズで最も小さいXC40が、日本でXC60より好成績を残しても不思議ではない。XC60の日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞がXC40の販売に追い風となるのも間違いなさそうだ。