自身の毛髪に悩みを抱いている中高年は少なくない。とりわけその中でも多いトラブルといえば「薄毛問題」だろう。若かりし頃はフサフサで、おしゃれに見えるようにさまざまなアレンジができていた髪が、徐々に少なくなっていくのを目の当たりにするのはつらいことだ。
近年は、男性に特有の脱毛症・AGAという言葉の認知度も徐々に高まりつつあるが、その詳細まできちんと把握している人は少ないはずだ。そこで今回、美容皮膚科・美容外科・形成外科のやながわ厚子医師に「AGA」についてうかがった。今は何の問題もない20~30代の男性も、将来薄毛で悩まないでいいよう、参考にしてみてほしい。
20歳代後半から30歳代半ばでAGAを発症
――AGAの具体的な症状と発症の原因を教えてください。
AGAとは「Androgenetic Alopecia」の略語で、日本では「男性型脱毛症」と言われています。頭髪がだんだんと薄くなるという進行型の脱毛症で、平均的には20代後半から30代半ば以降に発症します。年齢が高くなるにつれて多くなってきますが、20代前半から発症するケースもあります。
「男性型」というだけあって、男性ホルモンの影響により起こると言われています。髪の毛の根本にある毛乳頭細胞にある「アンドロゲン受容体」に、男性ホルモンが結合することで男性型の脱毛症を引き起こすと考えられています。
毛周期のサイクルが短くなることで毛の成長期の期間が短くなり、十分成長しないうちに毛根が途中で抜け落ちてしまいます。髪の毛として生えている期間が短いため、見た目に生えている毛が少なく、成長も悪くて細い毛になります。
――一般的によくみられるAGAの脱毛パターンはどういった感じなのでしょうか。
まずは生え際が後退していきます。特にアルファベットの「M」の形のように後退していくパターンが一般的ですね。頭頂部も毛が細くなり薄くなっていくことが多く、生え際と頭頂部のいずれか、もしくは両方に症状が出現します。頭皮は脂っぽく、抜け毛が増えるなどの症状もあります。