「快適な店内環境」では、パナソニックの「ナノイーX」を使用した空調機、空気清浄機を導入した。店舗スタッフのみならず、コンビニ利用者の買い物環境の改善にもつなげている。トイレには防臭・抗菌作用のある壁材、床材を用い、プレミスト機能・自動便器洗浄機能を装備した便器を採用したほか、脱臭機能付き空気清浄機の設置などを行なった。
このほか、細かいところでは、折り畳み傘も収納可能な傘立ての設置(快適な店内環境)、アイスクリームケースフィルターのフィルター部にスライド式ブラシを設けた清掃性の向上(働き安さの向上)、トイレの手洗いを泡沫型自動水栓による節水(環境負荷の低減)も可能にする。
日販だけでは語りきれないステージに
今回の取組みを見ると、ひとつひとつはかなり地味だ。AIを活用したレジなど未来感に溢れたものはなく、店舗利用者には、あまり気づかれない取組みともいえる。しかし、加盟店側には大きな意味を持ちそうだ。電気代はコスト削減に直結し、アイデア豊かな一連の取組みによって、対象設備に関連する作業時間を1日あたり約5.5時間も削減できるという。
コンビニの求心力を示す指標として平均日販がよく持ち出されるが、今回はそうした面からではなく、店舗運営コストや働きやすさにクローズアップしたものとして興味深い。
今年6月、ファミリーマートでは新マーケティング戦略において、人手不足を背景に販促物の削減を打ち出しており、店舗での作業時間を削減する取組みを公表した。セブン-イレブンは今回の取組みと人手不足との関係性について広報部は否定したものの、日販だけでは語りきれないステージにコンビニ業界が来ているように思われる。様々な業界において人手不足が声高に叫ばれているのが現状であり、コンビニにおいても日販だけではなく 働きやすさも加盟店の求心力を高める大きな材料になってもおかしくはなさそうだ。