ここまでくると、察しの良い方は何が言いたいのかお気づきかもしれないが、もう少しお付き合い頂こう。
開発者がmacOSからコプロセッサの存在の可能性を示唆した際、セットアップ時に「Hey Siri」機能の初期設定があることをその理由とした。MacにもすでにSiriは搭載されているが、自分の声に反応する「Hey Siri」機能には対応していない。ただS1、S2、S3を搭載するApple Watchも声に反応してSiriを起動でき、必ずしもAシリーズのプロセッサが必要とは言い切れない。
Hey Siriの存在と、インターフェイスや本体に指紋認証を搭載するスペースがなさそうだとすれば、AppleはiMac Proにどのような生体認証を加えるのか。そこで出てくるのがFace IDを搭載する、という線だ。
Face IDはiPhone Xで初めて組み込まれた生体認証だ。通常のカメラと赤外線カメラ、ドットプロジェクターを詰め込んだTrueDepthカメラ、そしてA11 Bionicプロセッサを組み合わせて実現する顔認証のシステムで、室内の明るさやメガネ、帽子、アクセサリの装着などにかかわらず、瞬時に認証を行え、指紋認証の5万分の1よりもはるかに低い、100万分の1の誤認識率を誇る。
これをiMac Proに搭載するには、カメラ部分に画像センサー以外のセンサーを用意すれば良いだけなので、指紋センサーのように操作可能な部分に変更を加える必要もなくなる。iMac Proが生体認証をサポートするなら、Face IDの方が自然なのではないか、と筆者は考えている。
AppleはiMac Proを発表する際、そして現在ウェブサイトでも、とくにTrueDepthカメラに関する言及はしておらず、1080p FaceTime HDカメラとの記載になっている。iMac Pro発表は6月、iPhone X発表は9月であったことから、もしTrueDepthカメラの搭載をするとしても、iPhone Xの目玉となる機能をわざわざ発表しなかっただろう。