親子間のスマホルールに一役買う取り組みも
だが、スマホデビューの低年齢化はいいことばかりではない。ネット上の有害な情報やトラブルは、親にとって不安の種だ。そこで、子どもにスマホを買い与える親たちを安心させる仕組みが求められる。
その仕組みの1つとして、ワイモバイルは有害サイトをブロックする「あんしんフィルター」をスマホに搭載する。だが、子どもは子どもなりに、LINEやSNOW、動画やゲームを自由に楽しみたいと考えている。まして中学生にもなれば、親から子に向けて一方的に制限をかけるだけではうまくいかない。
スマホの普及に伴い、スマホ利用に関する親子間での意見の調整は、どの家庭でも悩みどころだ。そこでワイモバイルは「ティーン雑誌」に着目したという。子どもにとって憧れの存在である読者モデルを活用しつつ、「夜何時までスマホを使えるか」などのルールをリスト化。具体的な時間などの詳細は各家庭で相談し、親子でサインできる書式になっている。
MVNOの中にもトーンモバイルのように子ども利用にフォーカスした事業者は出てきているが、まだ少数派だ。この機会にワイモバイルは親世代に向けて安心感をアピールしつつ、あわよくば「家族割」で家族まるごと囲い込みたいという思惑も見えてくる。
実は、この戦略には大きな死角もある。それはソフトバンクが提供する「SoftBank」ブランドの存在だ。同じ企業体の別ブランドであるワイモバイルとして、繰り出せる施策には限界もある。寺尾氏自身も兼ね合いの難しさを漏らす場面があった。
だが学割について、ワイモバイルが攻めていることは間違いない。料金の安さや端末ラインアップ、安心・安全といったさまざまな角度から、ワイモバイルは若年層のスマホデビューに最適なパッケージを作り出そうとしている。