得点発表の瞬間に見せた芸人たちの表情
だがここから、そんな彼らを脅かす強敵たちが波乱を起こし始める。4番目に登場したスーパーマラドーナが昨年のリベンジをかけた熱演で、わずか5点差に迫る「640点」を叩き出せば、続く今年の『キングオブコント』覇者・かまいたちも、くしくも同点の「640点」をマーク。さらに、決勝初出場の若手実力派兄弟コンビ・ミキが「650点」を獲得してとろサーモンから1位の座を奪い去り、次に登場した今大会の大本命・和牛がこれを上回る「653点」で一気にトップに躍り出る大混戦となった。
ラストに登場したのは、決勝進出3回目のジャルジャル。彼らの真骨頂である"言葉遊び"を極限まで磨き上げた斬新なネタで勝負をかけ、「636点」と惜しくもトップ3には残れなかったものの、松本は「俺は一番好きなネタ」と高評価。大会後の会見でとろサーモンが語ったところによれば、ジャルジャルのネタ中、久保田は抜かれまいかと不安でたまらず、「ずっと貧乏ゆすりをしていた」という。
そんな大波乱のファーストラウンド後半を熱く盛り上げたファイナリストたちの表情もさまざま。得点発表の瞬間、すっと背筋を正し、点数が表示されるスクリーンをしっかりと見据えた和牛の川西賢志郎、得点がトップ3に及ばないと知るや、頭をかきむしって悔しさを露わにしたジャルジャルの福徳秀介と、負けられない真剣勝負に臨む芸人たちの並々ならぬ意気込みが見て取れた。
「憎んでいた」時期もあった
熾烈を極めた激戦の末に、最終決戦に駒を進めたのは、和牛、ミキ、とろサーモンの3組。そのトップに登場したとろサーモンは、奇妙なシチュエーションを飄々と演じ切る彼らの魅力を存分に見せつけ、見事に王者の座を獲得した。
会見では、9回も準決勝に進出しながらも、なかなか決勝への切符を手に出できなかった『M-1』を「憎んでいた」時期もあったと語った久保田。優勝を決めた瞬間、思わずメガネを外して涙を拭う久保田に、上沼と渡辺がもらい泣きするシーンが感動を呼んだが、放送終了直後には、しきりに目元をぬぐう松本の姿も…。苦難の果てについに栄光を手にし、審査員までも泣かせたとろサーモンの今後の活躍に期待したい。
■『M-1グランプリ2017』決勝戦・結果
●ファーストラウンド
1.ゆにばーす:626点(オール巨人89点、渡辺正行87点、中川家礼二90点、春風亭小朝91点、博多大吉92点、松本人志87点、上沼恵美子90点)
2.カミナリ:618点(オール巨人87点、渡辺正行86点、中川家礼二89点、春風亭小朝90点、博多大吉91点、松本人志85点、上沼恵美子90点)
3.とろサーモン:645点(オール巨人88点、渡辺正行93点、中川家礼二93点、春風亭小朝93点、博多大吉93点、松本人志92点、上沼恵美子93点)
4.スーパーマラドーナ:640点(オール巨人94点、渡辺正行91点、中川家礼二92点、春風亭小朝91点、博多大吉93点、松本人志90点、上沼恵美子89点)
5.かまいたち:640点(オール巨人95点、渡辺正行89点、中川家礼二94点、春風亭小朝90点、博多大吉92点、松本人志91点、上沼恵美子89点)
6.マヂカルラブリー:607点(オール巨人86点、渡辺正行89点、中川家礼二88点、春風亭小朝89点、博多大吉88点、松本人志84点、上沼恵美子83点)
7.さや香:628点(オール巨人87点、渡辺正行91点、中川家礼二90点、春風亭小朝90点、博多大吉90点、松本人志90点、上沼恵美子90点)
8.ミキ:650点(オール巨人93点、渡辺正行94点、中川家礼二91点、春風亭小朝92点、博多大吉91点、松本人志94点、上沼恵美子95点)
9.和牛:653点(オール巨人92点、渡辺正行92点、中川家礼二93点、春風亭小朝94点、博多大吉94点、松本人志93点、上沼恵美子95点)
10.ジャルジャル:636点(オール巨人93点、渡辺正行88点、中川家礼二89点、春風亭小朝90点、博多大吉91点、松本人志95点、上沼恵美子90点)
●最終決戦
1.とろサーモン:4票(渡辺正行、中川家・礼二、春風亭小朝、博多大吉)
2.ミキ:0票
3.和牛:3票(オール巨人、松本人志、上沼恵美子)