3日にABC・テレビ朝日系で生放送され、とろサーモンが13代王者に輝いた『M-1グランプリ2017』。今回より新ルール「笑神籤(えみくじ)」が導入され、より波乱の展開となった熱戦の模様を、オンエアにはのらなかった出演者たちの表情もまじえて振り返る。
"祭り"のムードを高めた「笑御籤」
今年の『M-1』には4,094組がエントリーし、まずは、厳しい予選を勝ち抜いた、かまいたち、ゆにばーす、マヂカルラブリー、さや香、ミキ、とろサーモン、和牛、ジャルジャル、カミナリ(以上、エントリー順)の9組が決勝進出を決めた。そのファイナリスト発表会見の席で明らかになった「笑神籤」とは、従来は事前に決まっていたネタの順番を、本番中のくじ引きによって決定していく前代未聞のシステム。ファイナリストたちは決勝戦のプレッシャーに加え、いつ出番を迎えるかわからない緊張にさらされることとなった。
審査員は、昨年に引き続いてジャッジを担当するオール巨人、松本人志、上沼恵美子、中川家・礼二、博多大吉の5人に、7年ぶり6回目となる渡辺正行、13年ぶり3回目の春風亭小朝を加えた7人。昨年はひりつくような緊迫感に包まれていた審査員席だが、今年は笑みもこぼれるなど余裕も見られた。その大きな理由の1つと思われるのが会場の雰囲気。展開が予想できない新ルールへの期待の高さからか、客席は例年にも増して熱気にあふれ、年に一度の笑いの"祭り"を楽しもうというムードに満ちていたのだ。
会場をさらに盛り上げたのが、新ルールにより今年から大会の冒頭に発表されることになった10組目のファイナリスト「敗者復活枠」。当日の敗者復活戦を制した昨年のファイナリスト・スーパーマラドーナが見事に勝ち上がり、武智が「俺が一番M-1のこと思ってんねん!」と勝利への意気込みをぶち上げると、客席の熱気はますます上昇した。
勢いある若手たちが健闘
その興奮も覚めやらぬ中、いよいよ幕を開けたファーストラウンド。MCの今田耕司が引いた「笑神籤」でトップバッターに選ばれたのは、結成5年で初の決勝進出を決めた男女コンビ・ゆにばーす。1番手のプレッシャーをものともせず、はらの自由奔放なボケで爆笑をかっさらった2人は、「5年目でこの舞台、しかも急に出番といわれてワンミスもないとは…」とうなる大吉をはじめ審査員たちに高い評価を受け、700点満点中「626点」の高得点をマークした。続くカミナリも、昨年の決勝でも好評だった"どつき漫才"をブラッシュアップさせたネタで「618点」を獲得。いずれも勢いある若手が健闘を見せた。
3組目に登場したのは、11回目の『M-1』挑戦にして、初めて決勝進出を決めたとろサーモン。個性派キャラの久保田かずのぶが、すかすようなボケでツッコミの村田秀亮を翻弄する漫才を、審査員の渡辺は「力が入るラストイヤーで、これだけ軽くサラッと漫才ができてふざけられる。素晴らしいです!」と絶賛。7人の審査員のうち6人が90点台を叩き出し、「645点」でトップに立った2人が、満面の笑みでハイタッチを交わす姿が印象的だった。