来年はキャリアへの端末供給を目指すか
では、ファーウェイは今後どのようにして、端末販売を伸ばそうとしているのか。そのヒントは、今回発表されたMate10 Proから見て取ることができる。
実はMate10 Proには、最近のiPhoneシリーズと同様、IP67の耐水・防塵性能が備わっている。防水・防塵への対応はここ最近世界的なトレンドとなってきているが、ファーウェイはこれまで、防水・防塵への対応にあまり積極的ではなかった。それだけに今回、iPhoneに匹敵する耐水・防塵性能を備えたことは、この先を見据えた取り組みとして大きな意味のあるものなのではないかと筆者は推測する。
それはキャリア向けの端末納入だ。これまで日本向け機能の搭載に消極的だったファーウェイが、このタイミングであえて耐水・防塵性能を備えたモデルを投入してきたことは、日本のユーザーの要望に応えるだけでなく、日本のキャリアに向けたアピールという側面もあったのではないだろうか。
しかもここ最近、ファーウェイの関係者からは、来年の日本市場に向けた取り組みを強化する旨の発言を聞く機会が増えている。実際、7月27日に実施されたファーウェイのコンシューマー事業部の2017年上期業績発表会で、コンシューマー事業部CEOであるリチャード・ユー氏は、日本の記者向けグループインタビューにて「来年のPシリーズのスマートフォンを待って欲しい」と、Pシリーズの新機種でより日本市場に適したモデルを投入する考えを示していた。また呉波氏も今回の発表会における囲み取材で、「2018年はスマホ製品をSIMフリーに限らず、全ての市場でどんどん数を増やしていければと思う」と話している。
ファーウェイはタブレットやWi-Fiルーターなどで、キャリアとの接点を多く持っている。スマートフォンに関しては実績を残すことができず現在は撤退状態にあるものの、かつてと比べると同社のスマートフォンの品質は大幅に向上しており、SIMフリー市場で大きな実績を残しているという強みも持っている。ゆえに後は防水・防塵、そして現在も採用に消極的なFeliCaなど、日本市場のニーズに応える対応さえ進められさえすれば、ファーウェイのスマートフォンがキャリアから投入されても何らおかしくない状況にあるのだ。
もちろんこれは、あくまで筆者の推測に過ぎない。だがSIMフリー市場が伸び悩む中で、ファーウェイがさらなる成長を求めるには、キャリアからの販売が不可欠なのもまた確かである。それだけに、来年はファーウェイのスマートフォンが、キャリアから再び登場するか否かが、大きな注目ポイントの1つになってくるのではないだろうか。