免税店の目玉はシャネル
制限エリア内は大きく分けて、免税店などショッピングを楽しむエリアと、様々な安らぎを提供する休憩エリアに分かれている。
冒頭で触れたように、仁川空港は免税店売り上げ世界一を誇る空港だ。計画では2017年頭には免税店の選定を終えて着工となる予定だったが、大手企業の展開を禁止する法律ができた関係で選定が遅れた。11月下旬現在、免税店エリアはまだ建設中であったが、12月中旬には完成を予定している。第1ターミナルにはルイヴィトンのフラッグシップストアがあるが、第2ターミナルにはシャネルのフラッグシップストアが入る。
4,5階に設けられた休憩エリアには、スリーピングボックスやゲーム感覚でスポーツができるデジタルジム、タオルレンタル付きのシャワー施設(第2ターミナル利用者以外は有料)、キッズスペース、実物とデジタルの両方で読者が楽しめるライブラリーなどを無料で提供する。
有料施設として、乗継利用者は割引料金で利用できるラウンジがあるほか、最大20人が利用できるグループラウンジ(事前予約制)やトランジットホテル等も設ける。11月下旬取材時、多くの空間が建設中という状況だったが、免税店エリアとともに12月中旬に完成を予定している。
なお、大韓航空の施設も第2ターミナルでは充実させている。ファーストクラス利用者のための「プレミアムチェックインラウンジ」とプレステージ(ビジネスクラス)利用者とミリオンマイラークラブ、モーニングカームプレミアムクラブ会員のための「プレミアムチェックインカウンター」を設定。プレミアムチェックインラウンジには、搭乗手続き、手荷物預け入れ、ドリンクサービス、出国審査案内までコンシェルジュサービスを提供する。プレミアムチェックインカウンターは、特別カウンターで搭乗手続きもできる。
空港に行きたくなるレストランフロア
第2ターミナルのこだわりは地下1階にもある。レストランエリアにはソウルで味わえるものだけにはなく、"あそこに行かなければ食べられない名店"を集約した「韓国美食館」を展開。「全州家族會舘」(全州)や「徳仁館」(潭陽)、「五壮洞 興南屋」(ソウル 五壮洞)、「オデン食堂」(議政府)など、韓国自慢のグルメを提供する。
また、ミシュラン二つ星レストランの新感覚韓国料理店「JUNGSIK」のオーナーであるLIM JUNGSIK氏が新しく展開するレストラン「平和屋」も出店。さらに、アジアでは空港初となるハンバーガーショップ「SHAKE SHACK」もそろう。レストランエリアは空港を利用しない人も、ここを目的にして空港に行きたくなるような空間になることを目指している。
同じ地下1階には室内型のバスターミナルが広がっている。第1ターミナルのバスターミナルは屋外になっているが、第2ターミナルでは新しくバスターミナル運営業者と連携をした上で、バスチケット売り場やターミナル管理も仁川空港公社が行っている。
第2ターミナルは今後、12月中旬までに工事を終えて1カ月間試験運用し、2018年1月18日に開業となる。平昌五輪に向けた取り組みとしては、第2ターミナル内に選手向けのオリンピックラウンジを1月から運用し、仁川空港から平昌まで高速鉄道を1日18本程度、臨時便を運行する。
空港の外を見てみると、仁川国際空港公社の所有地で仁川空港から車で3分の場所には、韓国初の本格的統合型リゾート(IR)施設「パラダイスシティ」が4月20日にオープンした。同施設は運用しながら現在も開発を進めており、2018年9月に完成を予定している。
また、公社の敷地内にはもうひとつ、IR施設の開業を予定しており、11月に着工された。仁川空港は世界初の年間旅客数1億人規模の空港を目指すとともに、空港を空の玄関だけではなく、IR施設の展開も含め、様々な施設・機能を備えたひとつの都市的空間になることをビジョンに掲げている。
仁川空港のターミナル増設にあたり、LCC専用ターミナルも一案に上がっていたものの、低コストという切り口ではなくトータル的な利便性向上を踏まえた上で、今後のターミナル展開を考えていくとしている。目下は2018年2月の平昌五輪の成功が目標にはなるだろうが、アジアのハブ空港競争が激化している中、勝ち抜く空港を目指したこれからの計画にも注目したい。