格安SIM、でも良いものを持ちたい
本サービス展開の狙いについて、ソニーネットワークコミュニケーションズ モバイル事業部門長の細井邦俊氏は「格安SIMサービス利用者の中にも、良いものを持ちたいというニーズがあるため」と説明しています。
多くのMVNOではこれまで2~3万円台のスマホを展開してきました。それは「大手キャリアより安く使いたい」というニーズに合致しており、これにより市場が拡大してきたのも事実です。
そんな中、MVNO事業者が約10万円のハイエンド端末を"セット端末"として展開するのは異例のこと。ソニーグループである強みを活かした、nuroモバイルならではの手法と言えるでしょう。「今後はMVNOも特色を出して、サービスを差別化していく必要がある。nuroモバイルでもアイデア、知恵を出したメニューを出していきたい」と細井氏。まずは本サービスで、それを具体化したわけです。
しかしハイエンド路線を狙っていくと、他MVNO事業者との差別化は図れますが、大手キャリアとの競合が避けられなくなるのも事実。今回のサービスで端末を割賦払いにし、端末補償サービスをつけた「ベーシックPlusプラン」を選んだ場合、1年目は毎月4,480円~、2年目は毎月6,480円~、3年目は毎月7,280円~、4年目以降は毎月4,700円~となり、使い方によっては大手キャリアの方が得になるケースも出てきそうです。
会場は電波の入りがよくなかったため、実際の通信品質について、どこまで快適かは確認できませんでした。これについては、全国各地のソニーストアなどでデモが体験できるとのこと。MVNOサービスである以上、回線の提供元であるNTTドコモを超えられないことは事実ですが、サービスの契約者専用の帯域が確保されているとあり、昼の混雑時などにも快適に通信できるのでは、と期待が持てます。
なおダウンロード容量を使い切ると、アップロードについても低速化するとのこと。また、テザリングによりXperia XZ Premiumを介してPCをネットにつなげることも可能ですが、大容量のデータを使用して他のユーザーの迷惑になっていると判断された場合には、速度が規制されるそうです。このあたりにも注意する必要があるでしょう。ちなみに同社ではハードウェアの認識を行っており、本契約のSIMカードをPCなど他のデバイスに挿しての通信はできない設計になっているとの話でした。
繰り返しになりますが、アップロードに関して容量を気にせずに使えるため、Xperia XZ Premiumで撮影した写真や動画をSNSやブログに頻繁にアップしているユーザーには大きなメリットがありそうです。特定のアプリがカウントフリーになるサービスは他社でも展開していますが、アップロードをフリーにするというアイデアは、SNS全盛の時代ならではの発想かもしれません。