両国は「相撲の街」。それが現在の両国を形作っているには違いないが、人情にあふれ、見どころ、食べ歩きグルメ、そして、江戸情緒も満載の街であることをご存知だろうか。今回は、相撲ファンでなくても楽しめる下町・両国の街歩きを紹介しよう。

国技館通りにいろいろなポーズの力士像が

両国に遊びに行こう!

両国と言えば国技館。テレビでもお馴染みの大相撲の興行場所だ。JR総武線「両国駅」は、その構内の展示物や文字の書体までも「ここは相撲の街だ!」と語っているかのようである。街なかを歩いていても、やはり「相撲だ!」との叫びを思わせるオブジェが並んでいる。ハリウッドさながらの力士の手形までところどころに並んでいる。

お相撲さんの街だからこそグルメもいっぱい!?

台座には力士の手形も。知っている力士を探してみよう

やっぱりお相撲さんの手は大きい!

しかし、両国は相撲だけの街ではない。意外なほどにたくさんの江戸時代を中心とした歴史スポットや博物館・資料館、そして優雅な公園まである。その多くが無料のうえ、安くておいしいB級グルメの店もたくさん。さらに人情味もあふれている。これは「東京のおススメ散策スポット」に含めないわけにはいかない。

やっぱり相撲部屋がいっぱい

とは言え、せっかくなので相撲部屋も見てみよう。それぞれ国技館の徒歩圏内にあり、いずれの部屋もどっしりした筆使いの「◯◯部屋」という看板が堂々と出されているため見つけることは容易だ。探さずとも「両国エリアマップ」にはすでにその場所が記されているため、巡り歩いてみると面白い。マップは両国駅西口の観光案内所(-両国- 江戸NOREN内)や、ところどころにある観光スポットで手に入る。

春日野部屋

出羽海部屋

時津風部屋

隅田川と言えば、花火大会!

両国は隅田川に面している。隅田川とくれば、江戸時代から続く「隅田川花火大会」。その資料館である「両国花火資料館」は無料スポットのひとつで、花火のヒミツを垣間見ることができる。館内には地上600mにまで打ち上がる3尺玉や、花火の構造、花火の作り方も展示されている。

しかし何より面白かったのが館内の案内人で、両国にまつわる歴史や街の歩き方まで教えてくれた。両国への愛情を感じられる。ただし、係員は複数いるため、必ずしも街に詳しい方とは限らない。資料館は、9~6月の間、木・金・土・日曜日のみの開館のため注意しよう。

「両国花火資料館」は入場無料!

大正時代の打ち上げ筒なども展示されている

奥の巨大な玉が3尺玉で、重量は200kgもあるという。ちなみに隅田川花火大会で使われる最大の大きさは、一番手前にある5号玉。あの轟音をとどろかせる花火からは想像できないほど小さい

案内人さんが両国エリアマップに書き込んでくれた街歩きのルート

●information
両国花火資料館
東京都墨田区両国2-10-8

江戸っぽいものがたくさん!

江戸時代の再現などを展示した「江戸東京博物館」(2018年3月31日まで休館)が両国にあることは知られているが、実際にこの地は江戸時代に活躍した人物や事件などが関係している。ここには冬の風物詩・忠臣蔵で知られる「吉良上野介(きらこうずけのすけ)屋敷跡」があり、幕末に活躍した勝海舟や葛飾北斎の生誕の地でもある。また、時代はずれるが芥川龍之介もこのあたりで育ったというし、マップを眺めているだけで「あ!」と思うような歴史スポットがわんさかとあるのだ。

ところが残念なことに、関東大震災や空襲のため当時の建築などはほとんど残されていない。しかし、地元の人々の努力によって今も大切に保存されている史跡などがあり、その気持ちのためか、街には積み重なった歴史の重みが漂っているようだ。

忠臣蔵で知られる「吉良上野介屋敷跡」。吉良氏はこの屋敷に越してくる前、「討ち入りがあるかも」という噂により、近隣の大名屋敷から苦情が出たため移転することになったという。当時は2,550坪あったが、現在は30坪。一般的な一軒家の広さになっている。討ち入り後、吉良氏の首を洗った井戸も残されている

討ち入りのあった12月14日には、両家の供養のための「義士祭」を町をあげておこなっている。吉良家の家臣11士と、忠臣蔵で討ち入りした赤穂浪士47士のどちらに肩入れをするのでもなく、平等に供養しているところが興味深い

「勝海舟生誕の地」は、子供たちの遊ぶ公園の中にある

刀が立て掛けられたイスで記念写真はいかが?

明治時代、日露戦争で活躍した日本海軍駆逐艦「不知火(しらぬい)」の錨

街のところどころには歴史が書かれた看板が

国技館の北には「旧安田庭園」がある。江戸時代の大名庭園で、のちに安田善次郎氏が所有していた。安田氏は東京大学安田講堂の寄付者でもある。庭園はこれだけの美しさでありながら入場無料!

そのほか、横綱町公園には復興記念館がある。大正12(1923)年9月1日に起こった関東大震災からの大復興の記録で、昭和6(1931)年に建てられたもの。震災時、横綱町公園には多くの人が避難していたが、強風で炎が押し寄せ、ここだけで3万8,000人が亡くなったという。

両国へ行くのなら、お腹をすかしておくことをオススメする。「両国=相撲=ちゃんこ鍋」だが、ここでは散策しながら食べられるグルメにフォーカスして紹介しよう。