アンチエイジング医療を確立するために活動しているNPO法人アンチエイジングネットワークはこのほど、「アンチエイジングセミナー2017『カラダの中からアンチエイジング』」と題したセミナーを東京都内にて開催した。当日は女性ホルモンや腸内環境の専門家らを招いた講演が行われたので、その内容をお伝えする。
腸内環境を整えて美しく健康に
最初に登壇した医療法人社団 順幸会 小林メディカルクリニック東京の理事長で院長の小林暁子氏は「腸内環境を整えることがアンチエイジングになる」との観点から講演した。
小林氏は便秘外来、内科、皮膚科、女性専門外来など全身の不調に対応するクリニックを開業。中でも便秘外来は、これまでに1万人以上もの患者の治療に携わっており、「近年になって、腸についてわかってきた部分が多くなってきました。多くの人がご自身の腸に自信を持っていないのが現状。腸内環境がどのように体に影響するのかを知っていただきたい」と切り出した。
腸内環境が乱れている「腸内環境不美人」になってしまうと、体のさまざまな面に悪影響が出てくる。具体的には「便秘」「太りやすくなる」「気分が落ち込みやすくなる」「肌荒れ」「冷え性」「肩こり」などがあげられる。小林氏は「食事の欧米化」「女性ホルモンバランスの影響」「偏ったダイエット」「自律神経のバランス」など、複数の要因が絡み合い腸内環境不美人に陥ってしまうと話す。
ただ、「脳と腸と自律神経は密接な関わりがある」とし、とりわけ自律神経を整えることが腸内環境にとって重要だと指摘。自律神経を整えるためには、朝食をしっかり摂(と)るなどして時計遺伝子を乱さない生活スタイルを維持することと、腸によい栄養を与えることが重要だと語った。
そのためのキーワードとなるのが「ダイバーシティ(多様性)」。とりわけ腸内細菌の多様性を保つことが大切だが、1つの食材にこだわったダイエットやメディアの先導による偏った情報により、それが妨げられてしまっているのが現状だという。
食物繊維と発酵食品がカギ
では、具体的にどのようにして腸内細菌を多様にすればよいのだろうか。そのカギとなるのが、プレバイオティクスとプロバイオティクス。プレバイオティクスの役目は腸内細菌にエサを与えることで、食物繊維、特に水溶性の食物繊維を摂(と)ったり、オリゴ糖やラフィノースなどを摂取するとよい。プロバイオティクスは細菌を腸内に供給することを意味しており、ヨーグルトや漬物、納豆などの発酵食品を食べるとよい。ただし、どれか一つの食材に偏ってしまうと多様性は得られない。
「『あれがいい』『これがいい』といろいろな情報があるが、自分の体によいのかどうか、ちゃんと見極めることが大切。腸は一つの『社会』で、その環境もさまざまなので、誰かにとってはよいものでも、別の人によっては合わない場合もあります。(特定のものに)偏らずにいろいろと摂取することがいい環境を作るコツです」と、健やかで美しい腸づくりのためのアドバイスを送った。