日本通信がソフトバンク網を利用したMVNO事業を加速している。11月2日に発売した「b-mobile S 990 ジャストフィットSIM」は、音声通話対応で月額990円からという「格安」を実現した。
格安SIM市場ではNTTドコモのネットワークを利用する事業者が大半を占める中、日本通信がソフトバンクのMVNOに注力する狙いはどこにあるのか。
日本の格安SIM市場を切り開いた日本通信
国内の格安SIM市場を切り開いたパイオニア的な存在である日本通信だが、2017年1月にはソフトバンクと相互接続に合意。ドコモ網に加えてソフトバンク網を利用したMVNO事業にも参入した。
いまや700社を超えるというMVNO事業者だが、その大半はドコモから帯域を借りている。mineoなどマルチキャリアをうたう事業者もドコモとauのみの対応で、日本通信が参入するまでソフトバンクのMVNOは非常に限られた存在だった。
MVNO各社がソフトバンクとの接続を避けてきた背景には、接続料が高いという事情があった。10Mbpsの月額利用料ではドコモの月額67万4818円に対してソフトバンクは月額94万8803円と大幅に高い。
こうしてほぼ手つかずだった市場に殴り込みをかけたのが日本通信だ。2017年3月にはデータ通信用、8月には音声通話に対応したSIMカードを発売。さらに11月2日には変動料金制の「ジャストフィットSIM」を発売するなど、矢継ぎ早に製品を展開している。