さて、冒頭でご紹介した早撃ちガンマン。目の前にiPhoneが来るまでにロック解除が済んでホーム画面が表示されている状態を作り出す早業だが、これをFace IDを搭載するiPhone Xで実現するのは難しい。
筆者が2週間試した中で最も素早くホーム画面を表示させる方法はこうだ。
ポケットの中からiPhone Xを取り出しながら、画面をタップし、画面下縁から上方向のフリックをしながら、目の前に持ってくる。するとFace ID待ち受け状態になっているので、顔を認証させロック解除する。おそらくこれが、最も素早くiPhone Xをポケットから取り出し使える状態にする方法だ。
iPhone Xを見なければFace IDが認証されないため、見なくても指先だけで認証が済むTouch ID搭載iPhoneよりもワンテンポ遅れることは、回避できなかった。
Face IDやフリックによるホームボタンの代替について、ミリセカンド単位で速度にこだわったという。技術的には確かに、これまでと同じ速度を達成しているが、インターフェイスの仕様そのもの、人が慣れるかどうかという面がネックになっている。
もちろん、そこまでせっかちになる必要があるかは、再考の余地があるが、iPhone Xを使うユーザーが増え、Appleがなんらかの変更を加えることで、このスピードも向上する可能性があるだろう。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura