芦田愛菜ちゃん、鈴木梨央ちゃん、寺田心くん……テレビや映画などで活躍する人気タレントを次々と輩出してきた子役タレント事務所、ジョビィキッズ。今年9月に『わが子のやる気の育て方』(マガジンハウス)と題し、20年で約2万人もの子どもたちと接することで培ってきた"子育てのノウハウ"をまとめた一冊を発売。今回は同社に、子どものやる気を引き出す秘訣を聞いてきた。
大人の本気が、子どもの本気を引き出す
――今回、本を出版されたきっかけについて教えてください。
創立から約20年を迎え、これまでたくさんの子どもたち、その親御さんたちと接してきました。どうすれば子どもたちがレッスンを楽しんでくれるかを試行錯誤しながら続けてきた中で、私たちスタッフも子どもたちから多くのことを学ばせてもらいました。日頃から親御さんたちからご相談を受けることも多いのですが、世間では同じように子育てに迷っているお母さん方も多いと思います。そんな方々に私たちの声を少しでも役に立ててもらえればと思ったのが、本を出したきっかけです。
――本の中で、会社がスタートした当初、先生たちが「くいしんぼうのおばけ」を、ハードロック調で歌って踊って子どもたちに見せたという話もありましたが、レッスンでは先生も常に全力で子どもたちとぶつかっているというのが印象的でした。
設立当初は、"子どもたちを表舞台に出したい!"という夢ばかりが先走っていて、うまくいかないことも多かったんです。親から離れてスタジオに入るときには、子どもたちは大声で泣き、とてもレッスンを受ける状態ではありませんでした。冷静に、ダンスのステップを教えても、芝居をやるための説明をしても、子どもたちの興味をずっと向けることがなかなかできなかったんです。
――それは緊急事態ですよね。
この子たちがどうやったらレッスンに集中してくれるんだろう、と毎日毎日、本気で考えました。お芝居もレッスンも教えればついてきてくれるはず、という想いがあったのですが、子どもはそうではありません。では、どうすればいいんだろう、どうすれば興味を持ち、集中できるんだろう、といろいろな取り組みに挑戦してみたんです。子どもたちがびっくりするぐらいのハードロック調で歌って踊った「くいしんぼうのおばけ」は、講師とか大人とかの枠を取っ払い、人として子どもたちと真剣に向かい合い、心が通じ合ったなかで本気で楽しむことのスタートだったような気がします。
――いろいろな取り組みから見出した、子どもがレッスンを楽しんで受けてくれる秘訣こそが"本気"だったということですか?
子どもって、大人のウソがすぐに見破れるんです。こちらが真剣じゃなかったら、子どもも絶対に真剣になってくれません。そして、心が動かないと、お芝居やダンスの楽しさもわかってもらえません。そのためには、教える大人たちも楽しみながら、真剣にまっすぐ子どもたちと向き合っていくことが何よりも大切だということがわかりました。
またレッスンについては、子ども向けにしているのでは? と思われることも多いのですが、大人に教えるものと同じ内容の方が、むしろ子どもたちが興味をもってくれることもあります。もちろん、個人差や内容によっても違いますが、変に子ども扱いをせず、本気でぶつかっていくことが大事。その方が、子どもたちも一生懸命に取り組んでくれます。