環境省の水谷好洋氏は、「温暖化対策待ったなしといえる状況。温暖化対策の技術を開発するほか、生活者のライフスタイルを変えて、エネルギー消費を抑えなくてはならない」と警笛を鳴らす。
住環境計画研究所の中上英俊氏は、「44年間にわたってエネルギーの研究をしてきた。日本は相対的にみれば、暖房によるエネルギー消費は少ないが、家電製品に使われるエネルギー消費が多大」と指摘する。また、もっともCO2排出量が多いであろう東京電力、名古屋圏を主とする中部電力が今回のプロジェクトに名を連ねていないことを中上氏にたずねると、「両社とも、現在は準備段階。体制が整えば、このプロジェクトに参加する計画だ」と話す。
さて、環境省やエネルギー5社、住環境計画研究所といった企業・団体が今回のナッジ計画に参加するのはわかる。だが、なぜ日本オラクルが参加しているのだろうか。
実は、オラクルは2007年以降、世界10カ国、100社以上の電力会社に省エネ面で協力してきた。ユーティリティ事業部という部署が公共事業向けの技術を開発し、それを提供しており、約1,200万トンのCO2削減に貢献したという。日本オラクル 取締役 執行役 最高経営責任者 フランク・オーバーマイヤー氏は、「2030年に向けた日本の目標達成に協力したい」と意欲をみせる。
キャラクターで省エネを推進
具体的な取り組みだが、以下の3つが主軸になるという。「日本の強いキャラクター文化」「高いモバイル使用率」「地域密着型の電力会社」だ。まずは、キャラクターになじみやすい文化に着目し、「そらたん」というキャラを生み出した。空気の精霊という設定で、省エネが成功したときには笑ったり、逆に失敗したときには怒ったりするキャラになるという。
まずは30万世帯の協力を求めるが、はたして、キャラを使った省エネ啓蒙がどこまで浸透するのか……。その取り組みを見守り、何か動きがあれば、それをまたレポートしたい。