2017年11月6日から17日まで、南太平洋の島国フィジーを議長国として、国連気候変動会議「COP23」が開催された。パリ協定のルール作りを焦点に、いかにCO2排出を抑えるか、参加国の姿勢が試される場となった。
フィジーには大きな会議場がなく、代わりにドイツ・ボンで行われたCOP23は、正念場を迎えている。というのも、中国に次ぎ二酸化炭素排出量が多いアメリカが、会議を脱退しているからだ。会議参加国は、いかにパリ協定のルールを守るのか、その姿勢が試される。
そんななか、日本で注目のプロジェクトが発表された。それは、日本初の大規模「ナッジ」の実証事業による温室効果ガスの削減。このナッジとは「そっと後押しをする」という意味の英単語で、行動経済学の理論を活用し、社会・環境・自身にとって、よりよい行動を促すことを指す。
ちなみに、日本の目標は、2013年度を基準に2030年度までに26%の温室効果ガスを削減するというもの。2013年度に排出した温室効果ガスの1/4以上を削減するという、かなりハードルの高い目標だ。
では、この大規模ナッジはどのようなものなのか。まず、参加企業・団体は以下のとおり。環境省を筆頭に、住環境計画研究所、北海道ガス、東北電力、北陸電力、関西電力、沖縄電力、そして日本オラクルといった陣容だ。何よりもエネルギー5社が参加していることが心強く、温室効果ガス削減の目標達成に、現実味を帯びてくる。
ただ、ナッジは前述したとおり、消費者の背中をそっと後押しするというもの。CO2排出量が多い火力発電所を廃止するといった、エネルギーの根本を覆すようなものではない。生活者の行動変容やライフスタイルの変革を促すことで、持続的なCO2削減を図っていくものだ。ただ、多くの生活者が意識をして、エネルギーの消費低減を進めていけば、これに勝る省エネはほかにない。
エネルギー各社の取り組み
では、エネルギー5社の取り組みは、いかなるものか。
北海道ガスは、それぞれの地域事情に合わせたエネルギーマネジメントが重要とする。積雪寒冷地なので、エネルギー消費が多く、いかに家庭用の省エネ研究・開発を進めていくのがカギという。
東北電力は、やはり寒冷地なので効率的な暖房と給湯を考えるとしている。寒冷地仕様の「ヒートポンプ」の普及に努めたいと話す。北陸電力は、電気使用量の見える化や、直接家庭にうかがってアドバイスすることが大切とした。関西電力は、スマートメーターで先行しているので、それをさらに進めたいという。沖縄電力は、CO2排出係数が高いのを是正したいと語る。石炭に比べ、CO2排出量が比較的に少ないLNG火力発電の建設が急がれる。