デルはこのほど、日本デザイン振興会が主催する2017年度グッドデザイン賞において「XPS 13 2-in-1」など4製品が受賞したと発表した。授賞式のために米国本社からデザイン部門の責任者であるエドワード・ボイド(Edward Boyd)氏が来日。これに合わせてインタビューする機会が得られた。現在のデル製品の根底に流れるデザイン哲学について話を聞いた。
今回受賞した4製品は、いずれも2017年に発売された製品で、ノートPCが2機種、デスクトップPCが1機種、ディスプレイが1機種となっている。
まずは13型タッチ対応コンバーチブルノートPCの「XPS 13 2-in-1」だ。5.2mmの狭額縁を実現したInfinity Edgeディスプレイに、13.3型液晶をW304×D199×H8~13.7mmのコンパクトな筐体に収めている。
15型ゲーミングノートPCの「Inspiron 15 7000 Gaming(以下、Inspiron Gaming)」。CPUとグラフィックスのハイパワーをしっかり引き出すために、新設計の冷却機構を採用。ファンの動作音もより抑えた。
3つめは「Inspiron 27 7000 フレームレスデスクトップ(以下、Inspiron デスクトップ)」。27型ディスプレイ一体型デスクトップPCだ。最新のAMD RyzenプロセッサとRadeon RX 500シリーズを搭載してハイパフォーマンスを実現しており、狭額縁による高い没入感も魅力の製品だ。
最後の「Dell Sシリーズ S2718D 27インチワイド フレームレスモニター(以下、S2718D モニター)」は27型ディスプレイ。狭額縁Infinity Edgeディスプレイと、独自のHDR+機能を搭載。さらにコネクタを台座部に集中することですっきりした配線を実現している。
XPS 13は日本の「箸」からインスピレーション
デルと言えば無駄を排した無骨なデザインというイメージのユーザーも少なくない中、デル製品をデザイン面で改革したのがエドワード・ボイド氏だ。ボイド氏は、ソニーや米ナイキを経て2007年にデルに入社し、2010年からコンシューマーおよびエンタープライズビジネスのデザイン統括を兼任している。
――グッドデザイン賞を受賞した4製品ついて、それぞれデザイン面でこだわった点を教えてください
ボイド氏:4製品すべてに共通する「デザイン哲学」として、ユーザーのニーズを収集して重視するポイントがどこなのかきちんと把握することが挙げられます。必要なものは取り込み、ユーザーが重視しないものは削ることで、価格と機能・性能のバランスを取ります。
例えば、XPS 13はモビリティを重視するユーザー向けの製品なので、小さく軽いことが望まれます。13.3型で最も小型になることを目指して、狭額縁ディスプレイを採用するだけでなく、画面を長時間見るユーザーが多くなる製品なので、画面の解像度や色の再現性を重視しました。長時間持ち運んで使えるよう、バッテリーにも力を入れています。日本のユーザーは特にバッテリーを重視しますね。
こうした仕様面のデザインに合わせて、外観をデザインしていきます。実はXPS 13の外観は日本からかなり影響を受けています。
XPS 13の本体を閉じた状態で側面から見ると、天板とキーボード部で2つのメタリックなラインが鋭角を作る先細りのデザインになっているでしょう。これは「箸」のイメージです。
――確かに箸のようですね。言われてみると、急に馴染み深く感じてきました。残る3製品はどこにこだわりましたか?
ボイド氏:Inspiron Gamingは、スクリーンを目にした際の没入感にこだわってデザインしています。赤と黒のカラーもプレイヤーのテンションを上げる優れた色合いでしょう。ハードウェア性能はゲームに求められるスペックを詰め込んでいます。
Inspiron デスクトップも、ゲームや動画再生などエンターテイメントが堪能できるプレミアムメインストリームのマシンです。グラフィックス性能にも優れ、キーボードの打ちやすさなどにも配慮しているので、長時間フルスロットでゲームする人にも向いています。
最後のS2718D モニターは、「ウルトラシャープ」にこだわりました。ベゼルをギリギリまで削ったほか、筐体も27型では最薄を実現しました。これらの製品は、発売後の市場の反応も良いです。