前出の戸梶村長は「公務員では考えられない民間のアイデアを多くいただきたい。今回のイベントはそのためのもの」と語る。また、日高村 総務課 村づくり推進室 安岡周総氏は、「アイデアによるふるさと納税。ここでいただいたアイデアを地域に送りたい」と、イベントの意義を説明した。
日高村の知名度は低いが、特産品は和紙だけではない。「シュガートマト」と呼ばれるほどの甘さのトマトや、「芋けんぴ」といった農産品がある。特に芋けんぴは全国の出荷量の半分ほどを占めているそうだ。安岡氏は「全国のスーパーやコンビニに出荷されている芋けんぴは、日高村の澁谷食品という老舗によるもの」と、芋けんぴが日高村の特産品であることを強調する。
農産物だけではない。豊かな自然も日高村にはある。そのシンボルといえるのが仁淀川。この川の水質は5年連続で日本一に輝いているそうだ。高知といえば、四万十川が有名だが、こちらは“清流”として名をはせているもので、水質に関しては仁淀川のほうが上ということになる。仁淀川ではカヤックやラフティング、屋形船といった川遊びが盛んだという。
40年後には半減してしまう人口
ただ、いくら農産物が豊富でも、自然が豊かでも過疎の流れは止められない。戸梶村長によると、「今は約5,000人の村民がいるが、40年後には2,500~2,600人に半減してしまう」と、国の試算を挙げながら村の問題点を示した。
「村の人口減少を抑えるには、村の良さをいかに伝えるかが大事」(戸梶村長)。特に、村で育った人たちに、いかに戻ってきてもらうか。多くの若者が県外の大学に進学してしまうそうで、こうした人たちが大学卒業後に戻ってきてもらうようにしたいと戸梶村長、安岡氏は語る。定年後に戻ってきてもらうのもありだとしている。
これまで筆者は、人口減にあえぐ自治体の首長と話す機会が何度かあった。その首長たちは人口減による自治体消失の懸念について口をそろえていう。ただ、ふるさと納税は効果を上げているようで、総務省によると平成26年度388.5億円だったのが、平成27年度は1,652.9億円に伸びたそうだ。日高村も少しずつだが税収が増えているらしい。とはいえ、人口が激減してしまえば、税収が低下するのは自明の理。いかに人口減に対するか、各自治体の取り組みが重要だろう。