人口減少により、税収が減少している地方自治体。多くの自治体がこの悩みを抱えている。そんななか、東京でイベントを開催し、知名度アップによる税収増、観光客呼び込み、定住者の確保を狙っている村がある。高知県・高岡郡日高村だ。

“日高”と聞いてどこを思い浮かべるだろう。まず、北海道にある日高半島、そしてその半島にある日高山脈を思い浮かべるのではないか。首都圏在住の方なら、彼岸花の群生で有名な埼玉県・日高市を真っ先に想像するかもしれない。土地名ではなく、中華料理のチェーン店「日高屋」を思い浮かべた方もいるだろう。だが、高知県・日高村を思い浮かべた方は、ごく少数なのではないか。

右が日高村の戸梶村長。左は高知から上京した和紙の職人さん

ちなみに高知県・日高村は、高知市から西へ16kmほど。人口は約5,000人で、“村”と呼ぶには県庁所在地に近く、人口も多い。だが、その知名度は低く、首都圏の方はほとんどその存在を知らないだろう。日高村村長 戸梶眞幸氏によると、「高知市の方でも知らない方は多いのではないか」と自嘲する。

こうした自治体にとって、知名度アップが最善の策。そのために東京でイベントを開催したのだ。

日高村が誇る和紙を使ったアイデア

このイベントは、日高村だけで行えたのではない。強力なパートナーが存在している。そのうちのひとつが「さとふる」。この企業はソフトバンクグループで、ふるさと納税のポータルサイトを運営している。そしてもう1社が、オレンジ・アンド・パートナーズだ。同社は企画力やアイデアを駆使して、地域貢献につなげるのを得意としている。代表は映画「おくりびと」などの脚本を手がけた、放送作家の小山薫堂氏だ。同イベントは「第1回 ふるさと応援会議」とネーミングされた。

では、どのようなイベントが行われたのか。当日に集まったのは首都圏在住のプランナーやクリエイターなど。彼らのアイデアを生かし、日高村の特産品をPRするのが目的だ。その特産品とは和紙。日高村は製紙業が盛んなところで、古くから和紙も生産されている。日本一薄い和紙も日高村で作られている。

以下のようなアイデアが出た。1000年もつ和紙で婚姻届を作り、婚姻生活が永く続くように願ったもの。0.02ミリという、人の肌と同じぐらいの薄さの和紙で作った顔パックやオムツ。紙のはかなさと耐久性を兼ね備えた虫カゴといったものだ。こうしたアイデアが和紙の価値を高め、ひいては村の活性化につながればと思う。

筆者もイベント会場でアイデアを考えてみた。常にカバンに忍ばせておける和紙製靴下や、軽くて持ち運びやすい和紙で作られた「ワンデイカヤック」などだ。