MVNOの事業買収は続くか
楽天モバイルの位置づけも同じだ。三木谷氏は次のように話す。「楽天イコール楽天市場というイメージがあると思うが、楽天は会員ビジネスに移行したと考えたほうがいい。カードであったり、通信サービス(楽天モバイル)であったり、それを会員に展開していくという考え」(三木谷氏)。
楽天モバイルという通信サービスを提供し、楽天内のサービスを組み合わせながら、魅力あるサービスを展開していく。そして、その中核として活かしていくのが顧客データと顧客基盤ということになるだろう。
では、本題となるMVNO買収についてだ。三木谷氏は「現時点ではない」としながらも「経済効率性が合えば当然否定することではない」とする。このコメントからは何もわからないが、周囲の状況を合わせて考えると少し見方が変わるはずだ。
目指す高みは1000万契約
楽天モバイルがスタートした当初、三木谷氏は1000万契約を掲げていた。そして目標値は今も変わっていない。現時点では140万契約。言葉どおり忠実に計算すれば860万契約を獲得していかねばならない。これだけの契約数を自前で獲得していくのは無理があるだろう。
MVNOの環境も見てみよう。以前述べたように、MVNOは上位数社しか黒字化を果たせていないのが現状だ。体力がいつまでもつかという、我慢大会に近い状況にある。耐え切れなくなったMVNO事業者を楽天が買収するというのは、大いにありえる話だ。
繰り返すが、楽天にとっての資産は顧客基盤とデータだ。事業買収の話はないのが現状だが、先々の目標と取り巻く環境を考えれば、いつ話が湧いてもおかしくないと見るべきだろう。事業買収の話があるとすれば、その際、注目したいのが、1契約者あたりの獲得コストになりそうだ。