2020年東京オリンピック・パラリンピックのロゴをあしらった、みずほ・Visa ビジネスデビット 東京2020 マーク入りデザインカード

また、みずほ銀行 常務執行役員の板橋 宏氏は、みずほビジネスデビットが、中小企業や個人事業主の支払い業務の効率化に役立つと指摘する。

例えば、従業員による立て替え購入では法人口座直結のみずほビジネスデビットで精算するため、その後の作業は経理担当者に領収書を渡すだけ。立て替え金を処理するために現金を用意する必要がなくなるだけでなく、カード決済の内容はすべて利用明細として記録が残る。利用明細は管理責任者が一括してダウンロードできるため、大量の領収書の仕訳業務も省力化でき、中小企業や個人事業主にとってかなりのメリットが得られそうだ。

また、このデビットカードでは従業員の不正利用対策も徹底したと板橋氏は話す。1社あたり最大10枚までカードを用意できるが、1回あたり、1日あたり、1カ月あたりで、国内・海外それぞれの決済額を、管理責任者が専用Webサイト上でカードごとに細かく設定可能だという。

デビットカードの普及率が低い日本だが、みずほ銀行があえて新カードを提供する狙いは何か。

もちろん、カードの手数料収入もあるが、最も大きなメリットが「みずほビジネスデビットの利用を目的として新規口座開設」だろう。VISA シニアバイスプレジデントのDavid Simon氏が、「(Webサイト上のカード管理など)デジタルサービスが銀行によって提供されることで、中小企業や個人事業主が取引銀行を変更することにもつながる」と指摘するが、銀行にとって開設口座数は最も重要な要素であり、今後の展開次第では単なるカードビジネス以上のインパクトがありそうだ。

ただし、やはりネックは現金主義の根強さと、デビットカードが受け入れられるかどうかだ。ビザの安渕氏は、「シャッシュレス社会の実現に向けて、みずほビジネスデビットの認知向上も含めて最大限尽力したい」としているが、現金の取り扱いに不安や煩雑さを感じている中小企業や個人事業主が潜在的に存在しているという調査結果を踏まえ、いかに認知度向上と利便性を訴求できるかが、今後の課題となりそうだ。