ワークショップではCoaido119の使い方だけでなく、CPRの重要性も訴求

Coaido119のワークショップが豊島区役所で実施されたのは、今回の実証実験が豊島区の後援を受けているため。池袋駅を中心に半径1km圏内でのSOS発信に限定していますが、Coaido119の社会実装は始まっているのです。

池袋を舞台として選んだのは、豊島区が「高密度」だから。豊島区は、人口密度が日本一の自治体です。特に、区の中心である池袋駅は、乗降客数が世界第3位(1日当たり約260万人)でもあります。このアプリの有効性は、ユーザーの人口密度に直結しているんですね。また、池袋駅から半径1km圏内には、区が把握、公開しているだけで167台のAEDが設置されており、これも大きな選択要因の一つになっています。

ただし、心肺停止はAEDのみでは解決できません。脳と心臓を虚血(低酸素)から守る心臓マッサージを「CPR」(cardiopulmonary resuscitation:心肺蘇生)と言いますが、CPRによって心臓の痙攣(心室細動)を保つことが重要になります。

この心室細動を検知しなければAEDは通電しませんし、痙攣を停止させるAEDの機能も意味を持ちません。つまり、CPRしたうえでのAED利用でなければ、救命には至らないのです。

今回のワークショップでは、Coaido119の機能説明や使い方のほか、CPRの基礎知識、ペットボトルを使ったCPRの基礎訓練、AEDの基本的な使い方の講習も実施しました。

特にCoaido119で通報するだけでなく、周囲の人にAEDを探して持ってくるよう頼んだり、CPRには意外と体力が必要になるので交代でやってくれる人を確保することも重要だと訴えていました。

心停止の発生場所(棒)と救命率の割合(折れ線)。周囲に気づかれにくい住宅内での発生率の高さと、救命率の低いことに驚かされます

ペットボトルを利用したCPRの基礎訓練。肘を伸ばして、手のひらの下の部分でまっすぐリズムよく押し続けます。実際にやってみると、これは結構疲れます

Coaido119の使い方を分かりやすく説明する寸劇も披露

実際にCoaido119をインストールして操作を学びました。緊急時に定型文で助けを呼んだり、助けを呼ぶ人に応答できるのは便利

救急車が到着した場合など、SOS発信を終了する機能も

Coaidoの代表取締役CEO、玄正 慎氏は、「Coaido119はユーザーの密度が高ければ高いほど効果の出るアプリです。目の前で人が倒れたとき、Coaido119をインストールしてあれば、たとえ救急医療の知識がなくても迅速な救援要請で救命に役立てます。また、いつ自分が倒れる側になるかも分かりません。そんなとき、近くにCoaido119ユーザーがいれば、助かる可能性が高まります。まだ実証実験を始めたばかりで、実際に使われていくのはこれからになりますが、実例を増やしていくためにも、沢山の人に導入してもらい、必要なシーンに遭遇したときに活用してほしいです」と語りました。

Coaidoの玄正 慎 代表取締役CEO

いまのところCoaido119アプリは、iPhoneのみ対応です。Androidへの対応を望む声も多く、開発は前向きに検討中。対応エリアの拡大はビジネスプランとともに考えていくことになるため、Coaido119の活動に賛同して協力してくれる企業や自治体を募っているとのことです。