「UQ mobile」を展開するUQコミュニケーションズと、「BIGLOBEモバイル」を展開するビッグローブは、共にKDDI傘下のMVNOである。しかしながらUQ mobileはSIMと端末をセットで販売するなど大手キャリアに近いビジネス、BIGLOBEモバイルはSIMのみを提供するビジネスに力を入れており、戦略には大きな違いが見られる。その理由はどこにあるのだろうか。
2つの傘下企業がMVNOとして存在感を高めるKDDI
格安な料金で人気を高めているMVNOの台頭に危機感を抱き、大手キャリアは昨年頃から、従来重視してきた高価格帯のサービスだけでなく、サブブランドなどを活用した低価格帯のサービスにも力を入れるようになってきた。
中でもここ最近、低価格サービスに急速に力を注いでいるのがKDDIだ。KDDIはかつて、低価格帯のサービス提供に最も消極的で、他の2キャリアと比べても、台頭するMVNOに向けた対策で後手に回っていた。そこでKDDIは昨年から今年にかけて、急速に低価格サービスを強化し、MVNOへの流出阻止に力を注いでいる。
その中には、「auピタットプラン」「auフラットプラン」のように、メインブランドであるauの通信料金を下げることでMVNOへの流出阻止を図る施策もある。だが低価格戦略の中心となるのは、やはり同社傘下のMVNOであろう。実際KDDIは、「UQ mobile」ブランドのUQコミュニケーションズ、「BIGLOBEモバイル」ブランドのビッグローブ、そして「J:COM MOBILE」のジュピターテレコムと、コンシューマー向けにサービスを展開する3つのMVNOを傘下に持っており、それらを活用して低価格サービスの拡大を図る戦略を取っているのだ。
中でも最近目立っているのが、共に芸能人を起用した積極的なテレビCMを展開している、UQコミュニケーションズとビッグローブである。MM総研が6月に公表した「国内MVNO市場規模の推移(2017年3月末)」によると、MVNOの事業者シェアはビッグローブが6位、UQコミュニケーションズが7位。両社を合わせたシェアはより高いものになることから、KDDIがMVNO市場で急速に存在感を高めている様子がうかがえる。
しかしながら両社のサービスや販売スタイルを見ると、かなり違いがあることが分かる。UQ mobileはSIMとスマートフォンのセット販売を主軸に据えており、量販店や自社店舗「UQスポット」を全国に拡大するなど実店舗での販売を強化している。
一方ビッグローブは、テレビCMでも「SIM替え」を大きくアピールするなど、セット販売よりもSIM単体での販売を重視。しかも実店舗は構えておらず、オンラインでの販売を主体とした戦略を打ち出している。