先ほど唐突に出てきた新搭載のチップ「A11 Bionic」に関して少しだけ。A11 Bionicは6コア構成で、効率コアと性能コアの間でタスクを振り分け、消費電力を抑えつつ、素早い処理が可能だ。4つの効率コアはiPhone 7の最大70%高速で、2つの性能コアは最大25%高速になっている。GPUも30%高速化した。このパワーにより、ARを使ったゲームとアプリでは、これまでとは段違いのレベルの滑らかさとリアル感を実現している。
また、機械学習のための専用ハードウェアであるニューラルエンジンが搭載されており、それが、人、場所、物を認識/解析する。Face IDやアニ文字のバックグラウンドにあるのもニューラルエンジンで、例えば、外見の身体的変化に適応して顔認識の機能が向上していくのだ。一体、どこまで進化していくのだろうというのも含めて、これには端倪すべからざるものがある。
しかし、不思議な感じがする。一番新しいiPhoneなのに、何故か懐かしく思えるところがあるのだ。どうしてなのかと黙考してみてようやく気付いた。初めてスマートフォンに、iPhoneに触れた時のあの感じ、あのワクワク感を呼び覚まされたのである。スマートフォンの進化に頭打ち感が出てきて久しいが、iPhone Xは、その状況を打破してくれる、そういう存在であるに違いない。
これまでAppleは常にスマートフォンの市場を牽引するポジションにいた。そしてiPhone Xで「スマートフォンの未来」を提示した。今後、他のメーカーがiPhone Xで採用された機能や技術、デザインを真似てくるであろうことは想像に難くない。全てのスマートフォンはiPhoneの状態に憧れる、だが、Appleは追随を許さないだろう。今あるテクノロジーを実用レベルに落とし込むのにAppleは圧倒的に長けているからだ。大胆のコツは、度が過ぎない程度にどこまで遠くへ行けるかを知ることであるが、それをAppleは良く理解している。結果、iPhoneを超えられるのはiPhoneだけとなるのである。